ナイアシンとは?欠乏症の原因と摂取量基準について解説
- ナイアシンの欠乏は、身体にどんな悪影響があるの?
- ナイアシンはどれくらい摂れば十分なの?
- ナイアシンはどんな食材に豊富なの?
ナイアシンが欠乏すると、疲労感・消化不良・食欲不振・メンタルの不調などの不定愁訴をはじめ、ペラグラという皮膚疾患につながるリスクがあります。
なかなか疲れが取れない、気分が落ち込んでいる状態が続くなどの症状は、ナイアシン不足である可能性が考えられるため、ナイアシンを積極的に摂取することを検討してください。
そこで今回は、「ナイアシンをどのくらい摂取すればよいのか(摂取基準)」「ナイアシンが豊富な食材や摂取方法」について解説します。
食事と生活を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
ナイアシンとは
ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称であり、ビタミンB3ともいいます。
人の体内では、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンからも合成され、トリプトファン60㎎からナイアシン1㎎がつくられます。
ナイアシンには、主に次の2つの役割があります。
- 糖質・脂質・タンパク質の代謝に関与する役割
- アルコールを分解する役割
ナイアシンは、糖質・脂質・タンパク質からエネルギーを生産する過程において、補酵素として重要な役割を持っています。
エネルギー代謝のほとんどに関わっているため、皮膚の粘膜の更新に欠かせない働きや、成長ホルモンを作る働きがあり、健康を維持するために欠かせない栄養素です。
また、アルコールや二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素としても活躍するため、お酒をよく飲む人はナイアシンの摂取が必要です。
ナイアシンの欠乏で起こる不定愁訴
ナイアシンンの欠乏は、疲労感・食欲不振・消化不良・メンタルの不調などの不定愁訴の原因になります。
また、子どものナイアシン欠乏は、成長障害が起こる可能性もあります。
これらの不定愁訴を放っておくことで、ペラグラ(ナイアシン欠乏症)に発展するリスクが高まります。
- 疲労感
- 食欲不振・消化不良
- メンタルの不調
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
疲労感
ナイアシンは、エネルギー代謝に重要な役割を果たしているため、不足すると体内でのエネルギー生産が減少し、疲労感を引き起こします。
また、神経伝達物質の合成や神経系の機能が低下し、疲労感や倦怠感を感じる場合もあります。
消化不良・食欲不振
ナイアシンの欠乏により、消化器系の異常が起こり、下痢・嘔吐・胃炎・食欲不振などの症状が出る場合があります。
ナイアシンは酵素の働きを助けるため、不足すると酵素の生産や機能に影響を与えます。
不足により酵素の量や活性が低下すると、食物の消化が妨げられ、消化不良などの症状が生じます。
メンタルの不調
ナイアシン欠乏により、うつ状態・不眠・神経過敏・記憶力低下など、精神障害による症状を引き起こします。
神経伝達物質の一つで、精神を安定させるといわれているセロトニンは、ナイアシンと同じ必須アミノ酸のトリプトファンから生成されます。
トリプトファンは、ナイアシンの生成に優先して使われてしまうため、ナイアシンが不足するとセロトニンが生成されなくなってしまうため、心の健康を保つためにも、ナイアシンの摂取が重要です。
ナイアシンの欠乏を原因とする病気
典型的な欠乏症は、荒れた皮膚が語源のペラグラです。
ビタミンB群の一種であるナイアシンが欠乏することで、糖質・脂質・タンパク質・アルコールの代謝に異常をきたし、光線過敏症などの皮膚症状が起こります。
ペラグラの主な症状として、皮膚炎の他に食欲不振・下痢・嘔吐などの消化器症状を発症し、悪化すると憂うつ・頭痛などの神経障害を起こします。
また、日本でもアルコール中毒患者の人に、ペラグラが見られることがあります。
ナイアシン欠乏の原因
食事からのナイアシンの摂取不足の方や、アルコールを多量に摂取する方にナイアシン欠乏の症状が多くみられます。
また消化器系の障害や疾患によって、ナイアシンの吸収を妨げられることもあります。
食事からのナイアシン摂取不足
ナイアシンは、主に食事からの摂取が必要ですが、バランスのとれていない食事や栄養不足が、欠乏症の原因の1つです。
一般的にはきちんとした食事を毎日摂っていれば不足しにくい栄養素ですが、外食やインスタント食品などの偏った食事をしている方も、十分な注意が必要です。
アルコール
ナイアシン不足のもう1つの主な原因は、アルコールの多量摂取です。
アルコールの摂取はナイアシンの吸収や代謝を妨げるため、欠乏状態が生じやすくなります。
十分な食事を摂らずに大量に飲酒したときや、アルコール依存症の場合、憂鬱、頭痛などの神経障害を引き起こす場合もあるので、多量摂取には気を付けましょう。
予防医学の観点からみるナイアシンの摂取量基準
予防医学の観点からみると、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量は60㎎NEと考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として60㎎NEを目安にするといいでしょう。
ナイアシンの目標量は60㎎NE
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、ナイアシンの摂取基準である「推奨量」は、男性10~74歳は13~17㎎NE、女性10~74歳は10~14㎎NEとしています。
ただし、推奨量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとしてナイアシンの摂取目標量として1日60㎎NEを推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
私のナイアシンの吸収量の検査結果は「90.1㎎NE」と60㎎NEを大きく超える結果でした。おかげ様で疲労感やイライラをほとんど感じない生活を送っています。
ナイアシンの食事による過剰摂取の健康障害はなし
通常の食事を続けている限り過剰に摂取する可能性は低いため、食事からの過剰摂取による健康被害はほとんどないと考えられます。
しかし、ナイアシンを大量に摂取すると、一時的に血管が拡張して皮膚が赤くなったり、かゆくなったりすることがあります。
また、大量投与により、嘔吐や下痢などの消化器官の病気、肝機能障害などが生じた例が報告されています。
そのため、耐容上限量(過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量)は、30~64歳男性では350㎎NE、30~64歳女性では、250㎎NEと設定されています。
30~64歳女性の場合、耐容上限量が250㎎NEのため、1日にたらこ6腹を毎日食べるような生活であれば、過剰摂取になるため注意が必要です。
ナイアシンが豊富な食材と摂取量
ナイアシンは主に食事から摂取でき、肉や魚などの動物性食品に多く含まれます。
肉や魚はナイアシンの合成原材料であるトリプトファンも豊富に含まれているため、良質なタンパク質を摂ることでナイアシンも摂取できます。
ナイアシンが豊富な食材とナイアシンの含有量は、次の表の通りです。
カテゴリー | 食材 | ナイアシン含有量(㎎) |
---|---|---|
肉類 | 豚レバー/100g | 14.0 |
牛レバー/100g | 13.6 | |
豚ロース/80g | 6.4 | |
魚類 | たらこ/1腹80g | 39.6 |
カツオ/100g | 38.0 | |
アジ/80g | 12.2 | |
まぐろ/80g | 11.4 | |
カジキ/80g | 8.3 | |
サバ/80g | 8.3 | |
その他 | 落花生/90g | 15.3 |
舞茸/1パック100g | 9.1 |
たらこ
タンパク質が80gあたり19.2gと豊富なたらこですが、脂質は3.76g、糖質は0.32gと低く、摂りやすい食材です。
しかし、1日に60㎎NEを摂取しようとすると、たらこ120gを食べる必要があり、現実的ではありません。
たらこには、ひと腹で約30mgのプリン体が含まれているため、食べすぎには注意しましょう。
落花生
落花生の栄養素は炭水化物やタンパク質よりも脂質の割合が高く、ビタミンEやモリブデンなども多く含まれています。
しかし、落花生90gだと506kcalあるため、1日360gの摂取は現実的ではありません。
舞茸
舞茸はナイアシンが豊富なだけでなく、ビタミンD・ビタミンB2・ビオチン・葉酸・パントテン酸・銅・亜鉛・リン・カリウム・セレンなど、様々な栄養素が豊富です。
タンパク質に比べて、脂質や糖質が低いため摂りやすい食材ですが、1日に60㎎NEを摂取しようとすると、舞茸約600gを摂る必要があります。
このようにナイアシンが豊富な食材であっても、予防医学の観点からすると十分摂取するのは難しいのです。そのため、健康的な食事に加え、正しくサプリメントを選び、摂ることが重要になります。
ナイアシンの摂取方法
ナイアシンは、熱に強いため加熱調理しても成分はほとんど壊れませんが、水に溶けだしやすいため、煮汁ごと食べられる調理がおすすめです。
また、ナイアシンはアルコールの分解を助けてくれるので、飲む前に摂取したい栄養素です。
摂取するタイミング
水溶性のナイアシンは、身体に蓄えることができないため、数時間ごとにこまめに摂取することをおすすめします。
1日の食事で2~3食に分けて摂るようにしましょう。
アルコール摂取のおつまみはナイアシン
アルコールを摂取すると肝臓でアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒドはさらに酢酸に分解されます。
酢酸はさらに二酸化炭素と水に分解された後、体外に排出されます。
その代謝の際にナイアシンが消費される為、アルコールを大量に摂取した場合ナイアシンが必要になります。
そのため、十分な量のナイアシンを体内に供給しておけば、アルコールの代謝がスムーズに行われることも期待できるのです。
お酒のおつまみとしては、ナイアシンの豊富なピーナッツがおすすめです。
まとめ
今回は、ナイアシンの欠乏による不定愁訴や病気、ナイアシンの摂取基準や摂取方法について解説してきました。
ナイアシンが不足すると、疲労感・消化不良・食欲不振・メンタルの不調などにつながるため、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
ナイアシンの摂取目標量は1日60㎎NEと、通常の食事でとりきるのには限界があるでしょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
私自身、ナイアシンの吸収量が「90.1mgNE」と60mgNEを大きく超え健康的な水準を維持しているのは、間違いなく食生活とサプリメントの賜物です。
同じように健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。