モリブデンとは?摂取基準量と豊富な食材について解説
- モリブデンの欠乏は、身体にどんな悪影響があるの?
- モリブデンはどれくらい摂れば十分なの?
- モリブデンはどんな食材に豊富なの?
モリブデンが不足すると、貧血・疲労・頻脈・多呼吸・夜盲症などの不定愁訴をはじめ、慢性的に不足すると、尿酸代謝障害・不妊を引き起こすリスクがあります。
ふらっとする、しっかり寝ているのに疲れが取れないなどの症状は、モリブデン不足である可能性があります。
そこで今回は、「モリブデンをどのくらい摂取すればよいのか(摂取基準)」「モリブデンが豊富な食材や摂取方法」について解説します。
食事と生活を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
モリブデンとは
微量ミネラルであるモリブデンは、身体に必要不可欠な必須ミネラルの1つです。
成人の場合でも、体内のモリブデン量はわずか9㎎以下ですが、肝臓や腎臓に多く存在し、体内で多くの代謝に関わっています。
モリブデンは、主に次の3つの役割があります。
- 糖質や脂質の代謝を助ける役割
- 鉄分の働きを助ける役割
- 尿酸の生成を助ける役割
モリブデンは、体内では酵素の構成成分となり、糖質や脂質の代謝の過程で必要な酵素の働きを助ける役割を担っています。
また、尿酸の代謝にも関わっており、痛風の原因になるプリン体を分解して尿酸という最終老廃物を作り、尿に排泄する働きも担っています。
モリブデンは、鉄の代謝にも関わっており、血液をつくるために必要な鉄が不足すると、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助けて、利用効率を上げ、造血を促す働きもあります。
モリブデン欠乏で起こる不定愁訴
モリブデンは、体内での吸収率が高いため、通常の食事からの不足はほとんどありません。
しかし、不足した場合は貧血・疲労・頻脈・多呼吸・夜盲症などの不定愁訴の原因になります。
また、モリブデンが慢性的に不足すると、尿酸代謝障害・不妊を引き起こすリスクが高まります。
アフリカや中国など、土壌や飲料水中にモリブデンの濃度が低い地域で、食道がんの発生率が高かったという報告から、モリブデンが不足するとがんのリスクが高まる可能性があります。
- 貧血
- 頻脈
- 夜盲症
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
貧血
モリブデンの不足により、貧血が起こる可能性があります。
モリブデンは、体内の鉄の代謝に関わっていて、血液内で鉄が不足すると、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助けて、鉄の利用効率を上げて造血を促進します。
そのため、モリブデンが不足すると鉄の吸収や利用効率が下がってしまうため、貧血のリスクを増加させるのです。
頻脈
モリブデンの不足により、頻脈が起こる可能性があります。
頻脈になると、心臓がポンプとして血液をうまく送り出すことが難しくなり、脈が速くなります。
脈拍が1分間に101回以上になるとともに、胸の不快感・動悸・息切れ・めまいなどの症状が出たり、高度な頻脈の場合、心停止に陥ることもあります。
夜盲症
モリブデンの不足により、夜盲症が起こる可能性があります。
明るい所から暗い所に入ると、一時的にものが見えにくくなりますが、しばらくすると暗さに慣れて周りが見えてくることを暗順応といいます。
この順応がうまくいかない状態を、夜盲症(やもうしょう)と呼びます。
ビタミンAの不足により、夜盲症になる場合もあります。
モリブデンの摂りすぎによる悪影響
過剰に摂取されたモリブデンは、尿中に排泄されることにより、体内のモリブデン濃度が一定に保たれるため、通常の食事では過剰症を起こすことはほとんどありません。
しかし、慢性的な過剰摂取がある場合、関節痛・高尿酸血症など、痛風のような症状や、尿酸値が高くなる・銅の排泄量が増えるなどの可能性があります。
モリブデンは、銅と拮抗作用(互いにその効果を打ち消し合う作用)があるため、モリブデンの過剰摂取は銅の有効性を低下させ、銅欠乏症を引き起こす可能性があります。
また、慢性腎臓病の子どもや人工透析を受けている方は、血液中のモリブデン濃度が上昇するとされているため、腎機能が低下している場合には注意が必要です。
18歳以上は、モリブデンの食事摂取基準では耐容上限量が定められています。
予防医学の観点からみるモリブデンの摂取基準量
予防医学の観点からみると、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量は100㎍と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として100㎍を目安にするといいでしょう。
モリブデンの目標量は100㎍
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、モリブデンの摂取基準である「推奨量」は、男性12~74歳は25~30㎍、女性12~74歳は25㎍としています。
ただし、推奨量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとしてモリブデンの摂取目標量として1日100㎍を推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
私のモリブデン吸収量の検査結果は「140.1㎍」と100㎍を大きく超える健康的な結果です。
モリブデンが豊富な食材と摂取量
食品中に含まれるモリブデン量はごく微量ですが、穀物類・レバーに多く含まれます。
また、マメ科の植物は空気中の窒素を取り入れており、モリブデンを含んだ酵素を持っているため、植物性食品の中では特に豆類のモリブデン含有量が豊富です。
カテゴリー | 食材 | モリブデン含有量(㎍) |
---|---|---|
豆類 | 納豆/1パック(50g) | 145 |
枝豆/50g | 120 | |
豆もやし/100g | 57 | |
絹ごし豆腐/半丁(150g) | 103.5 | |
油揚げ/1枚(30g) | 29.1 | |
穀物類 | 玄米/1善(160g) | 54.4 |
肉類 | 豚レバー/50g | 60 |
海藻類 | 海苔/30g | 66 |
納豆
納豆の三大栄養素の中でも、最も多く含まれるのはタンパク質で、次に脂質・炭水化物が豊富です。
モリブデンの他にも、ビタミンK・パントテン酸・銅などの栄養素も多く含まれています。
納豆ご飯は、納豆の代表的な食べ方ですが、納豆チャーハン・納豆パスタ・納豆トースト・納豆汁など、様々なレシピで人気な食材です。
1日でモリブデン100㎍を摂取する場合、納豆1パックを食べることで、1日の目標量を満たすことができます。
玄米
精製されていない玄米は、白米に比べて脂質は多く含まれていますが、糖質は少なく、食物繊維も豊富です。
モリブデンの他にも、マグネシウム・リン・マンガン・銅・ナイアシン・ビタミンB6・ビタミンB1・パントテン酸などの栄養素も多く含まれています。
1日でモリブデン100㎍を摂取する場合、玄米を2善食べることで、1日の目標量を満たすことができます。
豚レバー
モリブデンが多く含まれているレバーですが、特に豚レバーに豊富に含まれています。
また、亜鉛・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンB12も多く含まれています。
他の肉類と比較するとリーズナブルな価格帯で購入できる豚レバーは、牛レバーや鶏レバー同様、レバニラやレバーパテ・レバーカツといったレシピが人気です。
1日でモリブデン100㎍を摂取する場合、豚レバーを約80g食べることで、1日の目標量を満たすことができますが、豚レバーだけでモリブデンを摂取するのは現実的ではありません。
モリブデンの効率的な摂取方法
モリブデンは、体内での吸収率が高く、通常の食事からの不足はほとんどありません。
そのため、日頃からバランスの摂れた食事を心がけることで、効率的な摂取が可能です。
1日に数回に分けて摂取する
過剰に摂取されたモリブデンは、尿中に排泄されることにより、体内のモリブデン濃度が一定に保たれるため、1日に2~3回に分けて目標量を摂取できるようにしましょう。
特に日本食では、モリブデンの豊富な豆類・穀物類・海藻類・魚類などを、バランスよく摂取することができます。
銅・鉄と一緒にバランスよく摂取する
貧血の原因として、栄養不足が知られていますが、モリブデンは銅の排泄や鉄の代謝にも関わっており、血液をつくるために必要な栄養素です。
血液内で鉄が不足すると、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助けて、鉄の利用効率を上げて造血を促進します。
また、銅と相互作用し、銅の排泄を促すため、不足すると鉄の吸収や利用効率が下がります。
貧血を予防するためにも、モリブデン・銅・鉄を含む食品を、バランスよく摂取しましょう。
まとめ
今回は、モリブデンの不足による不定愁訴や病気、モリブデンの摂取基準や摂取方法について解説してきました。
通常の食事からは、モリブデンが不足することはほとんどありませんが、不足すると、貧血・疲労・頻脈・多呼吸・夜盲症につながるため、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
モリブデンの摂取目標量は1日100㎍と、通常の食事でとりきるのには限界があるでしょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
私自身、モリブデンの吸収量が「140.1㎍」と100㎍を大きく超え健康的な水準を維持しているのは、間違いなく食生活とサプリメントの賜物です。
同じように健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。