コラボヘルスとは

コラボヘルスとは、企業と健康保険組合が協力して、従業員(健康保険組合にとっては組合員)とその家族の健康状態の維持向上を目指す取り組みのことを示します。

我が国では、2025年に団塊の世代が75歳を迎え「後期高齢者」が2,179万人までふくらむ超高齢社会を迎えます。それに対する政府の取り組みとして、コラボヘルスの整備を進めてきました。

企業が従業員の健康増進を経営の重要課題として推進する「健康経営」、健康保険組合が健康データを元に組合員の維持増進を図る「データヘルス計画」といった2つの動きを、企業と健康保険組合が同じデータと施策を共有して推進することがコラボヘルスの意義となります。

コラボヘルスとは

冒頭のとおり、コラボヘルスとは企業が従業員とその家族の健康状態の向上を目指す取り組みを示しています。

また、一般的にコラボヘルスは、健康保険組合と協力する取り組みを指しますが、広義には健康事業に取り組む民間企業との協力もコラボヘルスと呼ばれます。

保険者と事業者が積極的に連携し、明確な役割分担と良好な職場環境のもと、加入者の予防・健康づくりを効率的・効果的に実行することです。

引用:厚生労働省 コラボヘルスを推進してください

超高齢化社会の日本の企業では、従業員の平均年齢が上がり、生活習慣病をはじめととしたアブセンティーイズムや、体調不良によるプレゼンティーイズムのリスクが向上します。

このような状況の中で、企業がこれまでの対処医療型の健康管理から、予防医療型の健康管理にいかに切り替えていけるかが、コラボヘルスの課題となっています。

2017年に厚生労働省保険局は「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」を交付しました。

これにより、それまでは曖昧だったコラボヘルス・健康経営・データへルスの取り組み内容が明文化されたことで、大企業を中心にコラボヘルスへの参入が急がれ、中小企業にも広がりはじめています。

コラボヘルスガイドライン

コラボヘルスの意義

厚生労働省保険局の「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」によると、コラボヘルスの意義として次の6つが示されています。

  1. 事業主等に対して加入者の健康状況や健康課題を客観的な指標を用いて示すことなどにより、保健事業の必要性についての理解を得るよう努めること
  2. 事業主等に保健事業の内容・実施方法・期待される効果等を事前に十分に説明した上で、保険事業に参加しやすい職場環境を醸成すること
  3. 事業主等から加入者に保健事業への参加勧奨をしてもらうこと等について、事業主の協力が得られるよう努めること
  4. 職場内禁煙等、加入者が健康づくりに自主的に取り組みやすい環境が職場において実現するよう、事業主等に働きかけること
  5. 事業主等と役割分担等を含めて十分な調整を行い、効率的な実施に努めること
  6. 事業主が実施する労働安全衛生法に基づく事業との積極的な連携に努めること
引用:データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン 3コラボヘルスの意義

政府がコラボヘルスを推進する目的はデータの活用です。2015年より健康保険組合と連携し企業データを活用する「データヘルス計画」が開始され、すべての健康保険組合に実施が義務付けらました。

この取り組みは、個人の健康診断結果や欠勤日数などのデータを活用することで、適切な健康増進サービスを提供することが目的です。

そのため、保険事業と連携しながら、従業員や家族の健康意識を改革し、健康診断の受診など保険事業の積極的な活用が求められているのです。

ただし、具体的にどのように取り組めばいいかといった指標は示されておらず、あくまで企業の責任の範疇で取り組む必要があります。

コラボヘルスへの具体的な取り組み例

「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」には、コラボヘルスに積極的に取り組む企業として、花王健康保険組合・㈱フジクラ/フジクラ健康保険組合・SCSK㈱/SCSK健康保険組合・YKK健康保険組合・雪の聖母会健康保険組合・デパート健康保険組合の事例が紹介されています。

その中から、花王健康保険組合とフジクラ健康保険組合の取り組みを紹介します。

花王健康保険組合

花王と健康保険組合が協力して、健康診断実施の指導しています。また、専門家から生活習慣の見直しに関するアドバイスを行う特定保健指導を実施しています。

結果として2015年の健康診断受診率は99.8%となり、特定保健指導対象者が毎年減少し続けています。

また、QUPIOポイントを導入し、健康づくりの取り組みを行った従業員に、QUPIOポイントを与えています。例えば、毎日の歩数を登録したり、歯科検診を受診するなどに対してポイントが付与され、健康グッズと交換できる仕組みです。

食習慣改善イベントや家族も参加できるウォーキングイベントを事業場主催で開催し、従業員自ら健康に繋がる取り組みを推進しています。

フジクラ健康保険組合

株式会社フジクラは、従業員の健康診断データや健康管理データをまとめる専用サイトを開設するなど、コラボヘルスに積極的に取り組んでいます。

専用サイトは、健康にまつわる情報がケースごとに発信されていたり、各種届出・申請書がダウンロードできたりと、健康にまつわるポータルサイトとしての役割を兼ねています。

また、体組成計や脳波測定機などの測定器を設置した健康測定ルームを設置したり、スマートフォンによる特定保健指導も行っています。

コラボヘルスの課題

コラボヘルスの導入は、従業員や家族、従業員の生産性をあげたい企業それぞれにとってメリットがあるのは間違いありません。しかし、コラボヘルス導入にはいくつも課題があります。

手間とお金がかかる

コラボヘルスはまだ新しい概念のため、導入に向けた仕組みが整備されていません。

前例が少ないものを作り上げていくために、導入までに担当者および担当部門に大きな負荷がかかるのは間違いないでしょう。

データの取り扱い

従業員や家族の健康に関するデータは、かなりセンシティブな情報です。場合によっては、社内の個人情報データの取り扱いに関するルールを見直す必要があるかもしれません。

誰がデータを管理するのか、どうやってデータを収集しアクセスするのかといった情報セキュリティに関しても決める必要があります。

取り組み内容が不十分

前述のとおり、政府主導のコラボヘルスは、健康診断結果や欠勤日数などのデータを収集し、健康増進サービスに役立てることが目下の目的です。そのため、従業員に健康診断を積極的に受けさせ、健康保険組合の健康増進サービスを活用することが一連のスキームです。

しかし、一般的な健康診断では、健康かどうかの検査がしきれず、予防医学的な検査とは言い切れないといった問題や、一般的には病気を予防する基準の指導ができても、不定愁訴の改善までを見据えた本来の意味での健康指導までできないといった問題を抱えています。

コラボヘルスの「企業が従業員とその家族の健康状態の向上を目指す」といった大義名分に対して、現状の取り組み内容が予防医学的にみれば不十分といえ、今後の課題となるところでしょう。

サムライフのコラボヘルスへの取り組み

サムライフでは、「企業が従業員とその家族の健康状態の向上を目指す」本質的なコラボヘルスの取り組みとして、企業に対する福利厚生サービスを展開しています。

企業のニーズにあわせて、社員に向けた健康ワークショップカウンセリング予防医学的検査サプリメントの定期提供を行い、健康管理を行います。

社員それぞれの栄養状態をカウンセリングと予防医学的検査で正確に検査し、世界でも最高水準の有効性・安全性・経済性が約束されたサプリメントを中心とした食事改善を行うことで、健康経営を実現しています。

社員と家族の健康のため、コラボヘルスの取り組みは今後もっとメジャーなものになっていくでしょう。また、自社の生産性向上のためにも、コラボヘルスに取り組むことはプラスに働くでしょう。