ビタミンB1が欠乏するとどうなる?症状と適切な摂取量について解説
- ビタミンB1の欠乏は、身体にどんな悪影響があるの?
- ビタミンB1はどれくらい摂れば十分なの?
- ビタミンB1はどんな食材に豊富なの?
ビタミンB1が欠乏すると、神経障害・疲労感・倦怠感・記憶力の低下などの不定愁訴をはじめ、脚気・ウェルニッケ脳症などの病気に繋がるリスクがあります。
しっかり寝ているのに疲れが取れない、物忘れが激しくなってきたなどの症状は、ビタミンB1不足である可能性があります。
そこで今回は、「ビタミンB1をどのくらい摂取すればよいのか(摂取基準)」「ビタミンB1が豊富な食材や摂取方法」について解説します。
食事と生活を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
ビタミンB1とは
ビタミンB1は水溶性のビタミンの一種であり、チアミンとも呼ばれている栄養素です。
ビタミンB1には、主に2つの役割があります。
- 糖質に含まれるブドウ糖をエネルギーに変換する代謝の役割
- 脳の中枢神経・末梢神経の働きを正常に保つ役割
簡単に言えば、ビタミンB1には疲労回復の効果があります。
なかなか疲れが取れにくいと感じている方は、ビタミンB1が不足している可能性があります。
多くの食物に含まれていますが、水溶性ビタミンのため、意識的に摂取しないと不足気味になる栄養素のひとつです。
ビタミンB1の欠乏で起こる不定愁訴
ビタミンB1の欠乏は、神経障害・疲労感・倦怠感・記憶力の低下などの不定愁訴の原因になります。
また、これらの不定愁訴を放っておくことで、脚気やウェルニッケ脳症などの病気に発展するリスクがあります。
- 神経障害
- 疲労感・倦怠感
- 食欲不振
- イライラ
- 記憶力の低下
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
神経障害
脳が働くためには、ブドウ糖からのエネルギーを大量に必要としますが、ビタミンB1が不足するとエネルギーが不足し、神経に障害を起こします。
神経障害は、糖尿病の三大合併症の一つで、手足のしびれや痛み・むくみ・不眠・筋力低下・感覚の鈍麻・下痢や便秘を繰り返す・立ち眩み・味覚が鈍くなる・発汗異常・排尿障害・勃起障害など、様々な形であらわれます。
疲労感・倦怠感
ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖から十分なエネルギーが産生できなくなり、疲労感や倦怠感を感じやすくなります。
乳酸やピルビン酸などの疲労物質が蓄積しやすくなり、疲労回復も遅れます。脳へのエネルギーも不足するため、糖質の分解能力も低下します。
食欲不振
炭水化物からエネルギーを産生するためにとても大切な役割を果たすビタミンのため、ビタミンB1が不足すると食欲不振が生じます。
夏バテによる食欲不振は、ビタミンB1不足が原因であることが考えられます。
イライラ
ビタミンB1が不足すると糖質が分解されにくくなるので、脳の働きが悪くなり、イライラなどの精神的な症状が出ます。
ストレスを感じやすい場合は、ビタミンB1が不足している可能性があります。
記憶力の低下
ビタミンB1の欠乏により、海馬に変性(萎縮)が生じ、記憶力の低下が起こります。
ビタミンB1欠乏が続くと、ウェルニッケ脳症を代表とする、重篤な記憶障害を引き起こす可能性もあります。
ビタミンB1の欠乏を原因とする病気
ビタミンB1が不足し、神経炎・脳組織への障害等が生じることをビタミンB1欠乏症(チアミン欠乏症)と呼び、脚気やウェルニッケ脳症などの病気につながる可能性があります。
脚気
脚気とは、ビタミンB1が不足して起こる疾患で、食欲不振・倦怠感・手足のしびれ・膝蓋腱反射の消失などの症状があらわれます。
症状が進行すると、末梢神経や中枢神経が冒され足元がおぼつかなくなるほか、重症化すると心不全を起こして死に至る可能性もあります。
脚気かどうかを判断する症状として、膝の下のくぼみを叩いて足が自然に跳ね上がるかどうかを見る検査方法(膝蓋腱反射)があります。
跳ね上がらない、休んでも疲れが取れない、足にだるさが残る場合はビタミンB1が不足している可能性があります。
現在、脚気にかかる人はほとんどいませんが、糖質やアルコールを多量に摂取する人や、運動によるエネルギー消費量が多い人の中には、潜在的なビタミンB1欠乏症の人が多く存在していると考えられます。
ウェルニッケ脳症
ウェルニッケ脳症は、精神運動抑制または無関心・細かい目の震え・意識障害、ふらつきなどの症状が突然現れる病気です。
ウェルニッケ脳症の原因としては、アルコール依存症が半分を占めますが、チアミン不足を生じるすべての病気でウェルニッケ脳症が起こる可能性があります。
死亡率は10~17%と推計されている病気です。回復した場合でも、記憶障害や錯乱などの症状が起こる「コルサコフ症候群」が後遺症として残る可能性があります。
ビタミンB1欠乏の原因
糖質やアルコールを多量に摂る人や、運動によるエネルギー消費の多い方に、潜在的なビタミンB1欠乏症の人が多く見られます。
また、ビーガンの方や、精神安定剤・ホルモン剤・経口避妊薬を摂取している人も、ビタミン欠乏症の症状が見られることがあります。
精製された食事や外食
ビタミンB1の主な摂取方法は食事からですが、十分に摂取できていないことが1つの原因です。
発展途上国では、主食である炭水化物(白米・白小麦粉)は精製されることでビタミンB1の含有量が減少してしまい、白米は洗うことでさらに減少してしまいます。
また外食や偏った食事を続けているとビタミンB1が不足することがあります。
アルコールの多量摂取
ビタミンB1欠乏のもう1つの大きな原因として、アルコールの多量摂取です。
アルコールを摂取すると、代謝酵素により「アセトアルデヒド」に分解され、アセトアルデヒドはさらに体内で分解されて、「酢酸」に変化します。
最終的にエネルギーを作り出すときにビタミンB1が消費されるのですが、多量にお酒を飲んだ場合は、代謝酵素のみでは分解が追い付かずビタミンB1が必要となります。
また、アルコールはビタミンB1や様々な栄養素の吸収を低下させたり、排泄も加速させることが知られています。
予防医学の観点からみるビタミンB1の摂取量基準
予防医学の観点からみると、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量は7㎎と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として7mgを目安にするといいでしょう。
ビタミンB1の目標量は7㎎
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、ビタミンB1の摂取基準である「推奨量」は、男性10~74歳は1.2~1.5㎎、女性10~74歳は1.1~1.3㎎としています。
ただし、推奨量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとしてビタミンB1の摂取目標量として1日7㎎を推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
私のビタミンB1吸収量の検査結果は「20.8mg」と7mgを大きく超える結果でした。おかげ様で疲労感やイライラをほとんど感じない生活を送っています。
ビタミンB1の過剰摂取による健康障害は報告なし
通常の食事による過剰、健康障害は報告されていません。
しかし、直接的にチアミン塩酸塩の慢性的な摂取をした場合は、頭痛・イライラ・不眠・側脈・脆弱化・接触皮膚炎・かゆみなどの症状が現れる可能性はあります。
一般的な食事を続けている限りは、ビタミンB1を過剰に摂取する可能性は極めて低いでしょう。
仮に過剰摂取する場合は、同時に炭水化物や脂質を過剰に摂取している可能性があるため、そちらを原因とする健康被害になる可能性が高くなります。
私自身は数値的に過剰摂取ではありますが、それによって健康を害したり不定愁訴が起こっていません。
ビタミンB1が豊富な食材と摂取量
ビタミンB1は主に食事から摂取でき、肉類・魚類・豆類・全粒穀類・種実類などに多く含まれます。
肉は豚肉、魚はウナギ、豆類は大豆に多く含まれています。また、穀類のぬかや胚芽の部分にも多く含まれるため、主食に玄米や胚芽米・全粒粉パンなどを選ぶのも良いでしょう。
ビタミンB1が豊富な食材とビタミンB1の含有量は、次の表の通りです。
カテゴリ― | 食材 | ビタミンB1含有量(㎎) |
---|---|---|
肉類 | 豚ひれ肉 / 80g | 0.78 |
豚もも肉 / 80g | 0.72 | |
豚ロース / 80g | 0.55 | |
魚類 | うなぎのかば焼き / 1串100g | 0.75 |
穀物 | 玄米ごはん / 1杯150g | 0.24 |
そば1玉(生)/ 130g | 0.25 | |
豆類 | 大豆(乾燥)/ 30g | 0.25 |
絹ごし豆腐/ 150g | 0.15 |
豚肉
豚ヒレ肉で7mgを摂取しようとすると、豚ひれ肉700gを毎日食べる必要があります。
豚肉700gは、一般的に2~3人前のボリュームであり、現実的に毎日摂取できる量ではありません。
うなぎ
うなぎを食べると元気になるといわれますが、魚類の中でもビタミンB1が豊富です。
そんなうなぎでも、1日900g以上の摂取が必要であり、金額的にも現実的ではありません。
また、うなぎのかば焼きは100gあたり脂質19.3gであり、900gでは脂質の1日あたりの摂取目安を超えてしまいます。
玄米
玄米でビタミンB1を7mg摂取しようとすると、1日で玄米ご飯1杯(150g)を約29杯摂取する必要があります。
玄米は1杯(150g)あたりエネルギー量が248kcal、炭水化物量は53.4gなため、カロリーも炭水化物量も1日あたりの摂取目安を超えてしまいます。
このようにビタミンB1が豊富な食材であっても、予防医学の観点からすると十分摂取するのは難しいのです。そのため、健康的な食事に加え、正しくサプリメントを選び、摂ることが重要になります。
ビタミンB1の摂取方法
主食は、玄米や胚芽米・全粒粉パンなどの胚芽つきのものがおすすめです。
ビタミンB1は水に溶けやすい性質を持ち、加熱するといっそう溶けやすくなるため、汁物で摂取するのがおすすめです。にんにくの香り成分であるアリシンと一緒に摂取すると利用効果が高まります。
摂取するタイミング
水溶性のビタミンB1は、身体に蓄えることができないため、数時間ごとにこまめに摂取することをおすすめします。
夜ごはんで一気に摂取するのではなく、朝昼も意識的にとるようにしましょう。
相性のいい栄養素はアリシン
玉ねぎに含まれる「アリシン」と一緒に摂取することで、ビタミンB1の吸収率をアップします。
玉ねぎをたくさん使った豚の生姜焼き、肉じゃがなどがおすすめです。
玉ねぎの他には、にんにく・ねぎ・にらもアリシンは豊富なので、餃子や豚肉のニラ炒めも効率よくビタミンB1を摂取できる料理です。
まとめ
今回は、ビタミンB1の欠乏による不定愁訴や病気、ビタミンB1の摂取基準や摂取方法について解説してきました。
ビタミンB1が不足すると、疲労・倦怠感・記憶力の低下につながるため、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
ビタミンB1の摂取目標量は1日7mgと、通常の食事でとりきるのには限界があるでしょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
私自身、ビタミンB1の吸収量が「20.8mg」と7mgを大きく超え健康的な水準を維持しているのは、間違いなく食生活とサプリメントの賜物です。
同じように健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。