リンの摂取基準量は?リン不足による悪影響について解説
- リンの基準値はどれくらいなの?
- リンの不足は、身体にどんな悪影響があるの?
- リンはどんな食材に豊富なの?
リンは広く食品に含まれており、普通の食事で不足することはあまりなく、むしろ過剰摂取によりカルシウムの吸収を妨げる・カルシウム量の減少・骨軟化症・腎機能低下などを引き起こすリスクがあります。
リンは食品添加物として使用されていることがあり、清涼飲料水を飲んだり、外食・インスタント食品・加工食品を食べる機会が多い人はリンの摂りすぎには注意が必要です。
そこで今回は、「リンをどのくらい摂取すればよいのか(摂取基準)」「リンが豊富な食材や摂取方法」「リンの効果的な摂取方法」について解説します。
食事と生活を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
リンとは
多量ミネラルであるリンは、身体に必要なミネラルの1種です。
成人の体重の約1%を占め、そのうち約85%は骨や歯にあり、残りはタンパク質・脂質・糖質などと結合し、細胞膜のリン脂質としてあらゆる細胞に存在しています。
リンは、主に次の2つの役割があります。
- 丈夫な歯や骨を作る役割
- エネルギーを蓄える役割
リンは骨や歯の構成成分で、カルシウムやマグネシウムと結合し、丈夫な歯や骨作りに不可欠です。
また、エネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)という高エネルギーを発生する物質の構成成分でもあり、生命活動を支える重要な役割を担っています。
遺伝に関わるDNAをつくることにもリンが不可欠で、生命の大事な部分で欠かせない働きをしています。
リンの1日の摂取基準量
予防医学の観点からみても、30~49歳男性の場合で1日の摂取基準である「目標量」は1200㎎と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として1200㎎を目安にするといいでしょう。
リンの目標量は1200㎎
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、リンの摂取基準である「目安量」は、男性12~75歳は1000~1200㎎、女性12~75歳は800~1000㎎としています。
ただし、目安量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとしてリンの摂取目標量として1日1200㎎を推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
私のリン吸収量の検査結果は「1265.9㎎」と1200㎎を大きく超える健康的な結果です。
リン不足で起こる不定愁訴
リンは広く食品に含まれており、普通の食事で不足することはありません。
しかし、仮に不足した場合、骨や歯が弱くなる・筋力低下などの不定愁訴の原因になります。
- 骨や歯が弱くなる
- 筋力低下
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
骨や歯が弱くなる
リンは骨や歯の健康に重要なミネラルの1つであり、リンの不足は骨や歯の弱化を引き起こす可能性があります。
カルシウムと一緒に骨や歯を形成するため、バランスの摂れた栄養摂取が重要です。
筋力低下
リンの不足は、筋力低下や減少・疲労感を引き起こす可能性があります。
リンは、ATP(アデノシン三リン酸)の構成成分の1つで、エネルギーの供給源です。
筋肉の収縮や運動に必要なエネルギーは、ATPから得られるため、リンの不足は筋肉の機能に影響を与え、筋力低下や減少・疲労感を引き起こす場合があります。
リンの摂りすぎによる悪影響
リンを過剰に摂りすぎた場合、カルシウムの吸収を妨げる・カルシウム量の減少・骨軟化症・腎機能低下などを引き起こす可能性があります。
リンとカルシウムは、血液中でバランスを保って存在しています。
しかし、リンを摂りすぎると血液中のリン濃度が上昇し、バランスが崩れてしまい、骨から血液中にカルシウムが放出されるため、カルシウム量を減少させます。
また、腎機能に障害がある場合は、尿へのリンの排出量が減るため、血液中のリン濃度が増加するので、注意が必要です。
現在の日本の食生活では、加工食品の利用が増えていることにより、食品添加物として使われている、各種リン酸塩の摂取が多くなっているため、リン欠乏よりもむしろリンの過剰摂取の方が問題となっています。
そのため、食事摂取基準では耐容上限量が定められています。
リンが豊富な食材と摂取量
ミネラルは、生体を構成するうえで必要な栄養素ですが、生体内で作ることができないため、食事から摂取しなければなりません。
リンは、さまざまな食材に広く含まれていますが、とくに魚類・肉類・豆類・穀物類に豊富です。
また、タンパク質の多い食材にも多く含まれています。
カテゴリー | 食材 | リン含有量(㎎) |
---|---|---|
魚類 | ししゃも/50g | 215 |
ワカサギ/50g | 175 | |
カタクチイワシ/50g | 120 | |
豆類 | 高野豆腐/1個(16g) | 131.2 |
大豆/30g | 147 | |
ひきわり納豆/1パック(50g) | 125 | |
肉類 | 豚レバー/50g | 170 |
穀物類 | 玄米/1善(160g) | 208 |
蕎麦/1人前(茹であがり時260g) | 187.2 |
ししゃも
ししゃもはタンパク質が豊富で、脂質と糖質が低く、リンの他にもビタミンB12・セレンの成分が豊富です。
しかし、ビタミン類があまり含まれていないため、ビタミンの豊富なブロッコリー・春菊・小松菜・パセリ・納豆・鶏肉・フルーツなどと一緒に摂取することが望ましいでしょう。
1日でリン1200㎎摂取する場合、ししゃもを約250g摂取する必要があり、ししゃもだけでリンを摂取するのは現実的ではありません。
高野豆腐
凍らせた豆腐を乾燥させて作る高野豆腐は、リンの他にもモリブデン・マンガンの成分が豊富です。
また、タンパク質も豊富で、煮物や卵とじ、お肉の代わりに高野豆腐で作る、そぼろ・ミートソース・キーマカレー・唐揚げなど、さまざまなレシピで代用することができます。
高野豆腐には、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きを持つ大豆イソフラボン・脂肪の代謝を促進する大豆サボニン・脳を活性化させるレシチン・ビタミンE・食物繊維・鉄・亜鉛なども豊富で、積極的に摂りたい食材です。
1日でリン1200㎎摂取する場合、高野豆腐を約240g摂取する必要があり、高野豆腐だけでリンを摂取するのは現実的ではありません。
玄米
精製されていない玄米は、白米に比べて脂質は多いが糖質は低く、食物繊維も豊富です。
リンの他にも、マグネシウム・モリブデン・マンガン・銅・ナイアシン・ビタミンB6・ビタミンB1・パントテン酸などの栄養素も多く含まれています。
1日でリン1200㎎摂取する場合、玄米を約6善摂取する必要があり、玄米だけでリンを摂取するのは現実的ではありません。
リンの効果的な摂取方法
現在の日本の食生活では、加工食品の利用が増えていることによって、食品添加物として使われている、各種リン酸塩の摂取が多くなっているため、リンの過剰摂取が問題となっています。
カルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げるため、リンの効果的な摂取方法を日常に取り入れて、バランスの摂れた食事を心がけましょう。
リンとカルシウムの摂取比率は1:1~2が理想的
リンとカルシウムは、骨や歯の正常な発達に不可欠な成分ですが、リンを過剰に摂取するとカルシウムの吸収を阻害してしまうので注意が必要です。
体内で効率よく働くことのできるリンとカルシウムの摂取比率は1:1~2が理想的で、通常の食事をしている場合、過不足になることはほとんどありません。
しかし、リンは食品添加物として使用されていることがあり、清涼飲料水を飲んだり、外食・インスタント食品・加工食品を食べる機会が多い人はリンの摂りすぎには注意が必要です。
外食・インスタント食品・加工食品に偏りがちな場合は、リンの摂取量が多い可能性があるので、食生活を見直すとともにカルシウムとバランスの摂れた食事を心がけましょう。
また、肉類もカルシウムに対してリンの割合が高いため、肉類に偏った食事はバランスを欠くことになるので注意が必要です。
ビタミンDと一緒に摂取する
ビタミンDは、リンやカルシウムの吸収を増やし、丈夫な骨を維持するために必要なビタミンで、脳・筋肉・免疫などの機能維持にも大切や役割を担っています。
ビタミンDは、きくらげや干し椎茸などのきのこ類や、いわしやさんまなどの魚類などに多く含まれます。
また、食事から摂取されるほか、コレステロールを原料に、日光の紫外線の作用を借りて皮膚内でも作られるため、夏場は10分~30分・冬場は30~1時間ほど日光浴を行うこともおすすめです。
まとめ
今回は、リンの1日の摂取基準値、リン不足で起こる不定愁訴、リンの摂りすぎによる悪影響について解説してきました。
リンは広く食品に含まれており、普通の食事で不足することはあまりなく、インスタント食品や加工食品の利用による過剰摂取の方が問題になっています。
食事摂取基準でのリンの耐容上限量は3000㎎のため、リンの効果的な摂取方法を取り入れ、加工食品などの摂取による過剰摂取にならないように心がけましょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
私自身、リンの吸収量が「1265.9mg」と1200mgを大きく超え健康的な水準を維持しているのは、間違いなく食生活とサプリメントの賜物です。
健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。