ナトリウムの摂取基準値とは?不足や過剰摂取の問題点について解説
- ナトリウムの基準値はどれくらいなの?
- ナトリウムの不足は、身体にどんな悪影響があるの?
- ナトリウムはどんな食材に豊富なの?
日本人は、食事から塩分を必要以上に摂っているので、不足することは基本的にはありません。
しかし、多量に汗をかいたり、激しい下痢をした場合に、多量にナトリウムが排出されると、倦怠感・食欲不振などを生じます。
なかなか疲れが取れない、食欲がわかないなどの症状は、ナトリウム不足である可能性が考えられるため、ナトリウムを積極的に摂取することを検討してください。
そこで今回は、予防医学の専門家の観点化から「ナトリウムの摂取基準」「ナトリウム不足で起こる不定愁訴」「ナトリウムを多く含む食品」について解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
ナトリウムとは
ナトリウムは人間の身体に必要な必須ミネラルの1つで、主に食塩(塩化ナトリウム)の主成分の1つです。
ナトリウムの体内存在量は、体重の約0.15%で、その多くは細胞外の体液(細胞外液)に含まれています。
カリウムとともに体内の水分量を調整するほか、細胞外液量や循環血液量の維持や、栄養素の吸収・輸送、筋肉の収縮、神経の情報伝達など、様々な役割があります。
食塩相当量とナトリウムとは
食品相当量とは、食品に含まれるナトリウムの量を食塩(塩化ナトリウム)の量に換算した値です。
この値を使用することで、食品に含まれるナトリウムの量を把握しやすくなります。
食塩は通常、塩化ナトリウムから成り立っており、「食品成分表」には「食塩相当量」で表示されることがほとんどです。
食塩相当量は通常、グラム(g)単位で表されますが、例えば、ある食品のラベルに「ナトリウム 1.5g」と表示されている場合、これはその食品が1.5gのナトリウムを含むことを示しています。
したがって、この食品の食塩相当量は、1.5gのナトリウムを塩化ナトリウム(食塩)に換算したものとなります。
ナトリウムの性質・特徴と効果
ナトリウムは体内に必要な多量ミネラルの1つで、血液中の電解質として重要な役割を果たします。
血液中の電解質(ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなど)は、神経や筋肉の機能の調整や酸塩基平衡の調節を行います。
また、ナトリウムは体内の水分バランスを調整し、血圧を維持するのに役立ちます。
ナトリウムの1日の摂取基準量
予防医学の観点からみても、30~49歳男性の場合で1日の摂取基準である「目標量」は7.5g(2953㎎)未満と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として7.5g(2953㎎)を目安にするといいでしょう。
ナトリウムの目標量は7.5g(2953㎎)未満
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、ナトリウムの摂取基準である「目標量」は、男性15~75歳は7.5g(2953㎎)未満、女性15~75歳は6.5g(2559㎎)未満としています。
ナトリウム不足で起こる不定愁訴
ナトリウムの欠乏は、倦怠感・食欲不振などの不定愁訴の原因になります。
日本人は、食事から塩分を必要以上に摂っているので、不足することは基本的にはありません。
しかし、多量に汗をかいたり、激しい下痢をした場合に、多量にナトリウムが排出されると、倦怠感・食欲不振などを生じます。
これらの不定愁訴を放っておくことで、低ナトリウム血症が起こるリスクが高まります。
また、低ナトリウム血症が重症化した場合、筋肉の引きつりやけいれん発作が起こり、さらに症状が重篤になると昏睡状態や、最悪の場合には命に関わる可能性もあります。
そのため、心臓や肝臓・腎臓に疾患があったり、筋肉の引きつりやけいれん発作が見られる場合は、重篤化を防ぐためにも一刻も早い対応が必要です。
- 倦怠感
- 食欲不振
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
倦怠感
血液中のナトリウム濃度が低下すると、倦怠感を感じるようになります。
ナトリウムが不足すると、最初に影響を受けるのが、血液中のナトリウムの濃度の低下を特に敏感に感じる脳です。
そのため、血液中のナトリウム濃度が120~130mEq/Lぐらいになると、軽い倦怠感や疲労感を感じ始め、そのうちに反応が鈍くなる・錯乱するといった脳の症状なども出てきます。
食欲不振
ナトリウム不足による食欲不振には、いくつかの要因があり、味覚の変化によるもの・消化機能の低下・倦怠感によるものがあげられます。
ナトリウム不足の場合、塩味を感じにくくなり、食事が薄味に感じられ、食欲が減退することがあります。
また、胃酸の調整にも関与し、正常な消化のサポートをするため、ナトリウム不足が胃酸のバランスを崩し、消化が効率的でなくなるため、食欲不振が生じることもあるでしょう。
ナトリウム不足による倦怠感がある場合は、エネルギー不足や体力の低下などが原因で、食欲不振につながることもあります。
ナトリウムの過剰摂取で起こる不定愁訴と病気
ナトリウムは、主に食塩(塩化ナトリウム)として食事から摂取されますが、摂りすぎると喉の渇きを感じたり、細胞内外のバランスが崩れ、むくみやを生じます。
また、日本人の食生活では、醤油・味噌・塩などの調味料の使用が多く、摂取不足よりもむしろナトリウムの過剰摂取による高血圧や胃がんをはじめとする生活習慣病が問題となっています。
生活習慣病の予防には、ナトリウム摂取量の制限が重要なため、「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」において摂取目標量が定められています。
ナトリウムを多く含む食品
加工食品には、保存性を高める目的で食塩が多く使われていますが、加工食品を利用しすぎないことが、減塩対策の重要なポイントです。
ナトリウムを摂取する場合、添加されていない天然の塩や、醤油・味噌などの発酵調味料をうまく取り入れましょう。
お米に薄味のおかずを組み合わせ、みそ汁にはわかめや野菜など、カリウムが豊富な具材を入れるのがおすすめです。
カテゴリー | 食材 | 食塩相当量g/日、()はナトリウム含有量[㎎/日] |
---|---|---|
果実類 | 梅干し/1個(約10g) | 1.82(720) |
魚介類 | さきイカ/30g | 2.07(810) |
イカの塩辛/30g | 2.07(810) | |
明太子/50g | 2.8(1100) | |
海藻類 | 塩こんぶ/10g | 1.8(710) |
調味料類 | 醤油/大さじ1(18g) | 2.61(1026) |
淡色辛味噌/大さじ1(18g) | 2.23(882) | |
カレールー/市販ルー1かけら(20g) | 2.12(840) |
梅干し
梅干しは低カロリーで、おにぎり・おかゆ・和え物・サラダ・パスタ料理など、様々なレシピに利用できます。
特に夏場には、さっぱり食べられる上に、汗で多量に失われたナトリウム補給におすすめです。
しかし、梅干しは1個の塩分が高いため、食べ過ぎは塩分の過剰摂取となり、むくみや高血圧の原因にもなりかねません。
また、強い酸味は胃腸を刺激し、腹痛や下痢を引き起こす可能性があるため、梅干しからナトリウムを摂取する場合、1日に1個以下をおすすめします。
イカの塩辛
ナトリウムを多く含むイカの塩辛は、低脂肪な上に、タンパク質・ビタミンE・ビタミンB12・タウリン・銅が豊富に含まれています。
おつまみだけではなく、チャーハンやパスタ・お茶漬け・ピザ・じゃがバターにのせるなど、レシピは様々です。
しかし、イカの塩辛30gで食塩相当量が2.07gあるため、1日のナトリウム摂取量の1/4程度を摂取することになります。
醤油
醤油は発酵調味料のため、ミネラル・ビタミン・アミノ酸・酵素など、様々な成分を造り出すといわれています。
醤油の成分の中には、抗酸化作用・コレステロールを下げる・消化吸収を助ける・血圧の上昇を抑えるなど、様々な効果が期待できます。
しかし、醤油大さじ1で食塩相当量が2.61gあるため、1日のナトリウム摂取量の1/3程度を摂取することになります。
ナトリウムを抑える方法
日本人の食生活では、醤油・味噌・塩などの調味料の使用が多いため、ナトリウムの過剰摂取になりがちです。
ナトリウムの摂取を抑えるためには、次のような方法を試してみましょう。
- 食品ラベルをチェックする
- 塩分を控える
- 外食を減らす
- お水を飲む
購入する食品のラベルを確認し、高ナトリウムの食品を避けたり、控えるように心がけましょう。
特に加工食品や缶詰食品には、多くの場合ナトリウム含有量が高いため、摂りすぎないようにすることが重要です。
また、外食やファーストフードなどの食事は、高い塩分が含まれていることが多いため、自宅で料理をすることで塩分の摂取量を控えることができるでしょう。
また、ナトリウム含有量の高いスポーツ飲料などを控え、主にお水を飲むようにしましょう。
ナトリウムの適切な摂取方法
ナトリウムの適切な摂取方法には、次のようなものがあげられます。
- バランスの良い食事を摂る
- 食品ラベルを見る
- 塩分の使用を摂取する
- 加工食品を控える
- お水を多く摂る
ナトリウム含有量の高い食品を控え、野菜・果物・穀物・タンパク質などを中心に、バランスの良い食事を心がけましょう。
また、加工食品やファーストフードは、ナトリウム含有量の高いものが多いため、塩分量の低いメニューを選んだり、食べる頻度を減らすなど、工夫しましょう。
自宅で料理をする場合、使用する塩分の量を減らし、ハーブやスパイスなどで風味をつけるのもおすすめです。
また、1日に1.5~2Lのお水をこまめに飲むなど、 適切な水分摂取を心がけることで、ナトリウムの排泄がサポートされます。
まとめ
今回は、ナトリウムの基準値、ナトリウムの摂取不足による不定愁訴、ナトリウムの過剰摂取による不定愁訴と病気について解説してきました。
日本人の食生活では、醤油・味噌・塩などの調味料の使用が多いため、摂取不足よりもむしろ過剰摂取になりがちです。
ナトリウムの過剰摂取は、のどの渇き・むくみ・生活習慣病の原因となるため、ナトリウムの適切な摂取方法を取り入れながら、ナトリウム摂取を確保しましょう。
適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
同じように健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。