鉄の摂取基準量は?不足する原因と豊富な食材について解説
- 鉄の不足は、身体にどんな悪影響があるの?
- 鉄はどれくらい摂れば十分なの?
- 鉄はどんな食材に豊富なの?
鉄が不足すると、疲労感・だるさ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・筋力低下・シミ・シワ・抜け毛などの不定愁訴を引き起こす可能性があります。
成長期の子ども・妊娠期・授乳期・月経時には特に鉄の必要量が増加するため、積極的に摂取したい栄養素です。
食事が偏っていたり、無理なダイエットで食事の量が減ったりと、知らず知らずのうちに鉄欠乏性貧血や、一歩手前の段階の「隠れ貧血」に陥っている場合もあります。
そこで今回は、「鉄をどのくらい摂取すればよいのか(摂取基準)」「鉄が豊富な食材や摂取方法」について解説します。
食事と生活を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
鉄とは
微量ミネラルである鉄は、身体に必要不可欠な必須ミネラルの1つです。
成人の場合、鉄は体内に3~4g存在しており、このうち約70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンというタンパク質の構成成分となっています。
これらの鉄は「機能鉄」と呼ばれ、肺からとり込んだ酸素を全身に運搬する大事な役割をしています。
残りの約30%は、「貯蔵鉄」として肝臓・骨髄・脾臓・筋肉などに蓄えられていて、これらは「機能鉄」が不足したときに利用されます。
また、酵素の構成成分にもなっていて、エネルギー代謝においても重要な働きをしています。
成長期の子ども・妊娠期・授乳期・月経時には特に鉄の必要量が増加するため、積極的に摂取したい栄養素です。
鉄欠乏で起こる不定愁訴
鉄の不足は、鉄欠乏性貧血・疲労感・だるさ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・筋力低下・シミ・シワ・抜け毛などの不定愁訴の原因になります。
また、ヘモグロビンは正常値であるのにもかかわらず、貯蔵鉄(フェリチン)が不足して起こる「隠れ貧血」が増えていますが、通常の健康診断では見つかりません。
隠れ貧血は鉄欠乏性貧血の一歩手前の段階で、一般的な血液検査では貧血と診断されていなくても、疲れやすい・イライラしやすい・下や口の中が荒れるなどの症状がある場合は、念のためフェリチン値も調べてもらうことをおすすめします。
- 疲労感
- 頭痛・めまい
- シミ・シワ
- 抜け毛
- 鉄欠乏性貧血
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
疲労感
体内の鉄は、血中ヘモグロビンの材料となる大事な栄養素のため、鉄不足は、疲労やだるさの原因となる場合があります。
ヘモグロビンは、全身に酸素を届ける大切な役目を果たしていますが、材料となる鉄が不足するとヘモグロビンの量が減少して体中が酸欠状態になります。
酸欠状態になると、エネルギーを作り出すことが出来ず、疲労感やだるさなどの不調が現れます。
めまい・頭痛
鉄不足は、めまいや頭痛の原因となる場合があります。
体内の鉄が不足するとヘモグロビンの生産量が減り、体内の酸素量が減ることにより、脳が酸欠状態になってしまいます。
脳が消費する酸素量は全身の約2割を占めるため、多くの酸素量が必要ですが、酸素量が減ると頭痛やめまいといった症状が現れます。
シミ・シワ
鉄不足は、肌にもダメージをもたらす可能性があります。
肌のうるおいを保つ役割があるコラーゲンの原料はタンパク質で、体内でコラーゲンを合成する際に、鉄・ビタミンCが必要です。
そのため、鉄が不足するとコラーゲンが合成できずにシワができやすくなります。
また、鉄不足は肌への酸素供給量が減り、肌の新陳代謝が低下するため、シミもできやすくなります。
血液が赤い色をしているのはヘモグロビン中によるもので、鉄不足により血液中のヘモグロビンが少なくなると、皮膚や粘膜の赤みが少なくなり、顔色が青白くなる場合もあります。
抜け毛
鉄不足は、髪の毛にもダメージをもたらす可能性があります。
髪の毛は、毛根にある毛母細胞が酸素や栄養を使いながら細胞分裂を繰り返すことで毛髪が成長します。
しかし、鉄不足により体内の酸素が少なくなると、毛母細胞まで十分な酸素や栄養分が行き届かず、毛髪が正常に育たなくなってしまうため、髪の毛が細くなったり抜けやすくなってしまいます。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、赤血球中のヘモグロビン量が通常よりも少ない状態で、約90%は鉄不足が原因で起こる貧血です。
鉄が不足すると、全身に酸素を届ける役目を担っているヘモグロビンの量が減少するため、酸素の運搬能力が低下し、全身に十分な酸素が供給されなくなることにより、エネルギーを作り出すことができなくなります。
そのため、鉄不足で感じる疲労感・だるさ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・筋力低下・シミ・シワ・抜け毛などの不定愁訴のほとんどが、鉄欠乏性貧血が原因で現れます。
成長期の子どもや、月経のある女性や妊娠期・授乳期は、特に注意が必要です。
鉄の摂りすぎによる悪影響
鉄はもともと体内に吸収されにくいため、通常の食事では過剰症を起こすことはほとんどありません。
また、腸の粘膜にも存在する貯蔵鉄(フェリチン)が吸収の促進・抑制の調整をするため、必要以上に体内に吸収されないしくみになっています。
しかし、サプリメントなどで長期にわたり過剰に摂取し続けると、鉄沈着症を発症する恐れがあるので注意が必要です。
幼児の場合では、急性中毒を引き起こす可能性もあります。
予防医学の観点からみる鉄の摂取基準量
予防医学の観点からみると、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量は15㎎と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として15㎎を目安にするといいでしょう。
鉄の目標量は15㎎
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、鉄の摂取基準である「推奨量」は、男性12~74歳は7.5~10㎎、女性12~74歳は6~8.5㎎としています。
ただし、目安量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとして鉄の摂取目標量として1日15㎎を推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
鉄が豊富な食材と摂取量
鉄は、肉類・魚介類・海藻類・豆類・緑黄色野菜に多く含まれています。
食品中に含まれる鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があり、タンパク質と結合しているヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に多く含まれており、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれています。
レバーや赤身肉・かつおなどから摂取できるヘム鉄の方が、非へム鉄よりも鉄としての吸収率が高いことが知られています。
カテゴリー | 食材 | 鉄含有量(㎎) |
---|---|---|
肉類 | 豚レバー/50g | 6.5 |
鶏レバー/50g | 4.5 | |
牛ヒレ肉/50g | 1.4 | |
魚介類 | しじみ/50g | 4.15 |
あさり/50g | 1.1 | |
カツオ/50g | 0.95 | |
海藻類 | 青のり/5g | 3.85 |
ひじき/10g | 5.5 | |
豆類 | がんもどき/1個(約38g) | 1.37 |
納豆/1パック(50g) | 1.65 | |
野菜類 | 菜の花/50g | 1.45 |
小松菜/50g | 1.4 |
豚レバー
鉄が多く含まれている豚レバーは、他にも亜鉛・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンB12が多く含まれています。
他の肉類と比較するとリーズナブルな価格帯で購入できる豚レバーは、牛レバーや鶏レバー同様、レバニラ炒めやレバーパテ・レバーカツといったレシピが人気です。
1日で鉄15㎎を摂取する場合、豚レバーを約120g食べることで、1日の目標量を満たすことができますが、豚レバーだけで鉄を摂取するのは現実的ではありません。
しじみ
しじみは、鉄の他にも赤血球の形成に欠かせないビタミンB12や、タンパク質の合成に欠かせない「必須アミノ酸」を豊富に含んでいます。
また、アミノ酸の一種である「オルニチン」や「タウリン」の含有量が多いことも特徴で、肝臓の働きをサポートするため、お酒を飲む方は一緒に摂取できると良いでしょう。
しじみのレシピと言えば味噌汁が定番ですが、佃煮やスープ・炊き込みご飯などのレシピも人気で、しじみが有名な青森県では、しじみラーメンが有名です。
1日で鉄15㎎を摂取する場合、しじみを約150g食べることで、1日の目標量を満たすことができますが、しじみだけで鉄を摂取するのは現実的ではありません。
青のり
海藻類の中でも鉄が豊富な青のりは、葉酸・ヨウ素・ビタミンB12なども豊富に含んでいます。
また、体内でビタミンAの働きをするβカロテンも含まれているため、体の抵抗力を高め、皮膚や粘膜を健やかに保つ他、がんの予防にも期待されています。
1日で鉄15㎎を摂取する場合、青のりを約20g食べることで、1日の目標量を満たすことができますが、青のりだけで鉄を摂取するのは現実的ではありません。
鉄の効率的な摂取方法
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、植物性食品に含まれている非ヘム鉄よりも、動物性食品に含まれているヘム鉄の方が吸収率が高いことが知られています。
しかし、食品から摂取しても、体内に吸収されるのはほんのわずかで、理想的な食事をしている人でも1日の摂取量は約10㎎、吸収率は1日約1~2㎎しかありません。
日頃からバランスの摂れた食事を心がけることで、効率的な摂取が可能です。
ビタミンC・タンパク質と一緒に摂取する
貧血の予防や改善には、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンB12・ビタミンE・葉酸・銅・亜鉛・タンパク質など、1日20種類以上の食品からミネラル・ビタミンも十分に摂ることが理想的です。
中でも、ビタミンCやタンパク質は、鉄の吸収を助ける働きがあるため、積極的に摂取しましょう。
吸収を阻害するものを控える
緑茶・紅茶・コーヒーなど、タンニンが含まれるものは鉄の吸収を阻害するため、食事の前後の摂取はなるべく控えましょう。
また、加工食品やインスタント食品に含まれるリン酸などの食品添加物も、鉄の吸収を阻害するため、なるべく控えることをおすすめします。
まとめ
今回は、鉄欠乏よる不定愁訴や病気、鉄の摂取基準や摂取方法について解説してきました。
鉄が不足すると、鉄欠乏性貧血・疲労感・だるさ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・筋力低下などにつながるため、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
鉄の摂取目標量は1日15㎎と、通常の食事でとりきるのには限界があるでしょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。