葉酸を摂りすぎるとどうなる?1日の摂取量をあわせて解説

- 葉酸の過剰摂取は、身体にどんな影響があるの?
- 葉酸はどれくらい摂れば十分なの?
- 葉酸はどんな食材に豊富なの?
「造血のビタミン」とも呼ばれている葉酸ですが、妊娠を希望している人や妊娠中や授乳中の方は特に、積極的に葉酸を摂取している方も多いのではないのでしょうか。
葉酸を摂りすぎることによる身体への悪影響は基本的にないと考えられていますが、身体の不調が現れる可能性はあります。
そこで今回は、予防医学の専門家の観点化から「葉酸の摂りすぎ・不足による悪影響」「葉酸の摂取基準」「葉酸が豊富な食材や摂取方法」について解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』

葉酸とは

葉酸はビタミンB群の一種で、その名の通り緑葉野菜に多く含まれています。
「造血のビタミン」とも呼ばれている葉酸には、主に次の2つの働きがあります。
- ビタミンB12とともに、新しい赤血球を正常に作り出す働き
- 胎児が正常に発育するために、タンパク質や細胞新生に必要な核酸(DNAやRNA)を合成する働き
水溶性ビタミンである葉酸は、ビタミンB12と協力して新しい赤血球を作り出すために必要です。
赤血球は、体内におよそ20兆個あり1日に2000億個つくられ、寿命は120日と言われています。
赤血球の主な役割は、全身の組織に酸素を運び、運ばれた酸素は、全ての細胞のミトコンドリアにおけるエネルギー産生のために使われます。
また、胎児の正常な発育にも不可欠で、タンパク質や細胞新生に必要な核酸(DNAやRNA)を合成するために重要な役割を担っています。
妊娠中に葉酸を充分に摂取することで、神経管閉鎖障害という胎児の先天性異常を予防できることがわかってきました。
そのため、アメリカやイギリスでは、妊娠を予定している女性は1日400㎍(0.4㎎)、妊娠中はその倍量の葉酸を摂ることが勧められています。
葉酸の摂りすぎによる健康被害
通常の食事からの、葉酸の摂りすぎによる身体への悪影響は基本的にないと考えられています。
葉酸は、体内に蓄積されずに排出される水溶性ビタミンのため、過剰摂取しても身体に蓄積されないためです。
ただし、過剰摂取による悪性貧血のマスキングが健康障害として報告されており、ビタミンB12の欠乏を隠してしまうことで、神経障害の発生につながる可能性があります。
また、多量に摂取した場合、亜鉛の吸収が阻害されることがわかっているため、葉酸には上限量が定められています。
とはいえ、厚生労働省が公表している次の表の通り、葉酸が過剰摂取になる基準はかなり高く、普通に生活している分には過剰摂取になるリスクは低いといえるでしょう。

引用:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM
葉酸不足で起こる不定愁訴

葉酸の不足は、口内炎・肌荒れ・巨赤芽球性貧血(悪性貧血)・動脈硬化などの不定愁訴の原因になります。
また、妊娠中に葉酸欠乏症があると、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症が起こる可能性があります。
- 口内炎・肌荒れ
- 巨赤芽球性貧血(悪性貧血)
- 動脈硬化
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
口内炎・肌荒れ
葉酸が欠乏すると新陳代謝が盛んな口腔に炎症ができたり、肌荒れなどがあらわれます。
葉酸は、皮膚・爪・髪の毛・粘膜などを正常化する働きがあり、湿疹ができやすい・2枚爪になる・口内炎ができやすいなどの症状は、葉酸不足の可能性があります。
また、葉酸だけではなく、他のビタミンB群も一緒に欠乏しているかもしれません。
巨赤芽球性貧血(悪性貧血)
葉酸が欠乏すると造血機能に異常が生じ、巨赤芽球性貧血が起こる可能性があります。
巨赤芽球性貧血とは、赤血球の合成に必要なビタミンB12や葉酸が不足して引き起こされる貧血で、赤血球の形が大きくなるため、巨(大)赤芽球性貧血と呼ばれています。
脱力感、疲労感、集中力低下、頭痛、動悸などの症状があらわれます。
動脈硬化
体内の葉酸が不足してくると、ホモシステイン(アミノ酸の一種)の血中濃度が上昇した状態が続き、動脈硬化を招くこともわかってきました。
葉酸が不足すると、ホモシステインが過剰に分泌され、悪玉コレステロールと結合し、血液がドロドロになり血管へ沈着します。
そのため、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などの心臓疾患や脳卒中のリスクを高めます。
予防医学の観点からみる葉酸の摂取量基準
予防医学の観点からみると、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量400㎍と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として400㎍を目安にするといいでしょう。
葉酸の目標量は400㎍
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、葉酸の摂取基準である「推奨量」は、男性女性ともに10~11歳は190㎍、12~74歳は240㎍としています。
ただし、推奨量の基準は、ほとんどの人(97~98%)が欠乏しないラインであり、予防医学の観点では不十分です。

そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとして葉酸の摂取目標量として1日400㎍を推奨しています。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。

私の葉酸吸収量の検査結果は「562.7㎍」と400㎍を大きく超える健康的な結果です。
葉酸が豊富な食材と摂取量


葉酸は名前の通り、緑葉野菜に豊富に含まれており、また、レバーや豆類・果物にも豊富です。
葉酸は光に弱く、新鮮な野菜を日の当たるところに3日間放置した場合、70%の葉酸が分解されてしまうため、購入した野菜はすぐに冷蔵庫で保存し、早めに食べるようにしましょう。
葉酸が豊富な食材と葉酸の含有量は、次の表の通りです。
カテゴリー | 食材 | 葉酸含有量(㎍) |
---|---|---|
野菜 | 菜の花/100g | 340 |
ほうれん草/100g | 210 | |
枝豆/80g | 141 | |
モロヘイヤ/100g | 250 | |
ブロッコリー/100g | 210 | |
芽キャベツ/80g | 192 | |
春菊/100g | 190 | |
その他 | 牛レバー/50g | 500 |
ひよこ豆/30g | 105 |
菜の花
菜の花には葉酸が豊富に含まれていますが、その他にもビタミンK・ビタミンC・ビタミンE・パントテン酸・ビオチン・モリブデン・カリウム・カルシム・鉄・マンガンなどの栄養素も豊富です。
菜の花のおひたしや、辛子和えなどのレシピが人気です。
ビタミン・ミネラルなどの栄養が豊富なため、毎日摂りたい食材ではありますが、1日で葉酸400㎍を摂取する場合、約120g摂取する必要があります。
モロヘイヤ
モロヘイヤの葉は、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜よりも栄養価が高く、低カロリーな野菜です。
葉酸以外にも、ビタミンKやビタミンAも豊富なモロヘイヤは、サラダやスープなどのレシピがおすすめです。
1日で葉酸400㎍摂取する場合、約160g摂取する必要があり、モロヘイヤだけで葉酸を摂取するのは現実的ではありません。
牛レバー
牛レバーはタンパク質・脂質・炭水化物の順に三大栄養素の割合が高く、葉酸の他にも、ビタミン12・ビタミンA・ビタミンB2・ナイアシン・パントテン酸・亜鉛・鉄などの栄養素が豊富に含まれています。
レバニラ炒めは、ニラの成分であるアリシンと牛レバーのビタミンB1が結びつき、糖質をエネルギーに変えることで、疲労回復にもつながります。
牛レバーは50gで葉酸500㎍を摂取できるので、積極的に摂りたい食材です。
葉酸の効果的な摂取方法


菜の花・モロヘイヤ・ほうれん草などの緑葉野菜に豊富に含まれる葉酸は、レバーやひよこ豆にも豊富に含まれています。
普段の食事で欠乏することはまれですが、光や熱に弱いため、新鮮な食材をサラダなどで取り入れるのがおすすめです。
また、みそ汁やスープにしたりと、煮汁ごと食べられる調理法がおすすめです。
摂取するタイミング
水溶性である葉酸は、身体に蓄えることができないため、数時間ごとにこまめに摂取することをおすすめします。
1日2~3回に分けて、意識的に摂るようにしましょう。
ビタミンB12と一緒に摂取がおすすめ
ビタミンB12は葉酸の吸収率を高めてくれるほか、葉酸と一緒に血液の元となる赤血球やヘモグロビンを作りだす働きがあるため、一緒に摂取するのがおすすめです。
妊娠中や授乳期には、特に欠かせない栄養素であり、葉酸・ビタミンB12のどちらが不足しても貧血を起こしてしまい、ひどいときには悪性貧血になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
葉酸は水溶性のため水に溶けやすいので、緑葉野菜の葉酸とあさりのビタミンB12をみそ汁やお吸い物など、煮汁と一緒に摂ると、栄養素の損失がなく摂取できます。
まとめ
今回は、葉酸の欠乏による不定愁訴、葉酸の摂取基準や摂取方法について解説してきました。
葉酸が不足すると、口内炎・肌荒れ・巨赤芽球性貧血・動脈硬化などにつながるため、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
葉酸の摂取目標量は1日400㎍と、通常の食事でとりきるのには限界があるでしょう。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
私自身、葉酸の吸収量が「562.7㎍」と400㎍を大きく超え健康的な水準を維持しているのは、間違いなく食生活とサプリメントの賜物です。
同じように健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。