【予防医学】水の摂取基準量とは?水道水の3つの問題点についても解説

こんな方におすすめ
  • 水の不足は、身体にどんな悪影響があるの?
  • 水はどれくらい摂れば十分なの?
  • 水を摂取するタイミングはいつ?

生命維持に不可欠である水は、酸素・栄養・ホルモンなど運搬や、老廃物を排泄する重要な役割を担っています。

水が不足すると、頭痛や食欲不振・脱力感などの不定愁訴の原因となり、水分が体重の約10%失われると筋肉のけいれんや意識の混乱・腎機能の停止、20%以上では生命活動にも支障をきたし、死に至る可能性もあります。

そこで今回は、「水をどのくらい摂取すればよいのか」「水の摂取方法」について解説します。

食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。

監修者

株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士

薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。

病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。

著書:
4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法

目次

水が人間に必要な理由とは?

水が人間に必要な理由とは?

水は栄養素に分類されていませんが、人間の体内に最も多く含まれる成分で、生命維持のために不可欠です。

体に含まれる水分のことを「体液」と呼び、血液・リンパ液・消化液・組織間液(細胞と細胞の間を満たしている水)などがあります。

体液には、必要な栄養素を運び、不要な老廃物や二酸化炭素を運び出すという大事な働きがあります。

また、栄養素の代謝は、すべて体液という水の中で行われるため、水は栄養素を包括する生命の源なのです。

体内の水は、尿や便・呼吸・汗となって排泄されますが、発汗が多いと尿量が減り、水分を多量にとると尿量が増加して、常に一定に保たれるように調節されています。

人間の約60%は水で出来ている

人間の水分量は年齢とともに変化し、新生児で約75%、乳幼児で約70%、成人女性が約55%、成人男性が約60%、老人は約50%と言われています。

体の水分量が男性は60%・女性は55%より低い方は、酸素と栄養を運びづらく、老廃物を排出しにくい体質になります。

水分が体重の約10%失われると、筋肉のけいれんや意識の混乱を起こし、腎機能が失われ、20%以上では生命維持が不可能になります。

体内の水の働き

体内の水の働き

成人男性の場合、体重の約60%は水分で、これを体液と言い、細胞内・細胞外(組織間・血漿)・体腔(肺や心臓、胃腸や肝臓のすき間など)に存在しています。

栄養素は細胞外の体液に溶けて細胞内に入り、さまざまな代謝を営みます。

水の働きは主に、次の3つがあります。

  • 分解
  • 運搬
  • 体温の調節

分解

栄養素は体内ですべて水に溶け、吸収しやすい形に分解され運搬されます。

糖質・脂質・タンパク質が消化される時には、消化後に含まれる水に溶けて消化酵素の作用を受けます。

水に溶けた栄養素に消化酵素が作用すると、栄養素は水と反応して分解され、これを「加水分解」といい、デンプンが麦芽糖やブドウ糖に分解されるのは加水分解の結果となります。

運搬

水分は、酸素・栄養・ホルモンなどの成分を体のすみずみまで運搬する重要な役割を担っています。

細胞内液や血液などの成分として、栄養素・酸素などを運搬し、血液やリンパ液は体内の古い物質を細胞まで運び、腎臓でろ過され尿となり体外へ排出されます。

体温の調節

人の体温は通常37℃前後に保たれており、水が重要な役割を果たしています。

水は、比熱(1g当たりの物質の温度を1度上げるのに必要な熱量のこと)が高く、温まりにくく冷めにくい性質を持っているため、体温の急激な変化を防ぐことができます。

また、運動時や外気温が高い時には、体は汗をかいて熱を逃がし、体温を調整します。

汗が蒸発する際に体から熱が奪われるため、体温が上がり過ぎないようにして、一定に保ちます。

水分が足りないとどうなる?

水分が足りないとどうなる?

日々当たり前に摂取している水ですが、口から水分を1滴も摂らないと3~5日で死に至ります。

体内の水分量が約1%失われると、のどが渇き、不足を補う仕組みが働き、水分補給を長期間怠ると、尿量が抑制され、血液の粘度が高まり、循環障害を生じる可能性があります。

また、極度の発汗や下痢・嘔吐・出血などによって水分が極端に失われると、頭痛や食欲不振・脱力感などの不定愁訴が現れます。

水分量が約10%失われると、筋肉のけいれんや意識の混乱を起こし、腎機能が失われます。

20%以上失われると、生命活動にも支障をきたし、死に至る可能性もあります。

また、水分が不足すると熱中症・脳梗塞・心筋梗塞など、さまざまな健康障害の原因となります。

子供の脱水症状

水分を全く摂らなかったら数日後には死に至るように、人間にとって水分は必要不可欠なものです。

特に、新陳代謝が活発で水分の含有量が多い乳幼児は、汗や蒸発によって水分が失われるとすぐに脱水症状を起こし、命にかかわる危険な事態を招く可能性があります。

炎天下では特に、こまめな水分補給を忘れないようにしましょう。

心疾患の原因の一つ

日本の死因の第2位は心疾患で、その中でも心筋梗塞や心不全で亡くなる方が多くみられますが、その原因の一つとして水分不足が挙げられます。

特に高齢者で、心筋梗塞・心不全で亡くなる方は朝方が多いのですが、寝ている間に汗をかいたり、体の中の水分が蒸発して、血液の粘度が高まります。

そのため、日中では流れている血液が、寝てる間にドロドロになり、血液の循環が悪くなって心筋梗塞や心不全を起こしてしまうケースがあるのです。

予防医学の観点からみる水の摂取基準量

予防医学の観点からみる水の摂取基準量

予防医学の観点からみると、成人男性体重60㎏の場合、水の1日の摂取目標量は約1,300㎖と考えられます。

年齢・性別・体重によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として1,300㎖を目安にするといいでしょう。

成人が1日に必要な水分量は、体重1㎏あたり50㎖

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、栄養素は摂取基準値が設定されていますが、水に関しては基準値は設定されていません。

しかし、人間の体には水が不可欠なため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとして水の目標量を設定しています。

例えば、体重60㎏の人の場合、1日あたりに必要とする水分量は60㎏×50㎖=3,000㎖とされます。

ご飯・味噌汁・野菜・果物などの食事にも水分は含まれるため、1日で約1,200㎖(※①)を食事から摂取できます。

また、体の中で代謝の反応をした時に、水分が生成されると言われており、個人差はありますが約500㎖(※②)と言われています。

そのため、体重60㎏の人が1日に口から摂取すべき水分量は、約1,300㎖であると算出できます。

例)60㎏の成人男性が1日に必要な水の量の計算式
60㎏×50㎖=3,000㎖ 3,000㎖ー1,200㎖(※①)ー500㎖(※②)=1,300㎖

しかし、食事からの摂取には個人差があり、水分のないパンやクッキー・チョコなどをよく食べる方は、食事からの水分摂取が出来ないため、水の摂取量を増やす必要があります。

水の摂取方法

水の摂取方法

水の摂取方法は、冷たい水ではなく常温の水を、1時間おきにこまめに摂取しましょう。

また、お茶やアルコールからではなく、水からの摂取が基本です。

摂取するタイミング

一度にたくさんの水分を摂取するのではなく、1時間おきにこまめに摂取するのが理想的です。

摂取するタイミング
  • 朝起きたらコップ1杯
  • 1時間おきに水分補給(喉が渇く前)
  • 運動前後に飲む
  • お酒と交互に飲む
  • 寝る前にコップ1杯

寝ている間に失った水分を、まず朝起きたらで補給しましょう。

また、通勤などで歩いたときやスポーツをしたとき、入浴後・体を動かして汗をかいたときは特に意識して水分を摂取します。

寝ている間に水分が失われるため、寝る前にもコップ一杯の水を飲むようにしてください。

水分摂取は水から

水分の摂取は、お茶やアルコールではなく、水から摂取しましょう。

コーヒーやお茶にはカフェイン、アルコールにはアルコールが含まれています。

カフェインやアルコールには脱水効果があり、摂取した1.1倍の水分が体の外に出ていくため、飲めば飲むほど体から水分が失われていくのです。

そのため、基本的にミネラルウォーターを水分として補給してください。

水道水の3つの問題

日本の水道水は、塩素で消毒しているため、基本的には蒸留水や浄水器などを使用したり、ミネラルウォーターをおすすめします。

水道水は、綺麗な状態で飲めるように塩素で消毒されていますが、日本の塩素の基準は諸外国と比べて高く、5~15倍程度多いと考えられます。

塩素・トリハロメタン

塩素と有機物が反応すると、一部はトリハロメタンという有害な発がん性物質に変化します。

そのため、塩素やトリハロメタンを大量に摂っていると、アトピーや老化・心臓病などさまざまな不調の原因となります。

塩素で起こる不定愁訴や病気(代表例)
  • 高血圧
  • アトピー
  • ビタミン破壊
  • しみ・そばかす・肌荒れ
  • 抜け毛
  • 老化
  • 血管障害
  • 心臓病
トリハロメタンで起こる不定愁訴や病気(代表例
  • 発がん性
  • アトピー
  • 喘息
  • 肝機能障害
  • 流産

水道管

水道管やマンションにある貯蔵タンクなど、衛生状態が問題になっています。

1980年後半まで鉛製の給水管が使用されており、厚生労働省による鉛の健康被害も報告もされている通り、子どもの体にも大人の体にも悪い影響を及ぼします。

脳・神経・骨の発達障害や、機能障害が代表例で、鉛の成分が水に溶け出る恐れがあり、この鉛製の給水管の問題が今なお残っているのが現状です。

そのため、浄水器を使用したり、ミネラルウォーターを飲むなど、工夫をしましょう。

まとめ

今回は、水が人間に必要な理由とは?、水分が足りないとどうなる?、水の摂取基準や摂取方法について解説してきました。

水が不足すると、頭痛や食欲不振・脱力感などの脱水症状などが起こる可能性があり、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、水の基準値は設定されていないため、サムライフの目標量である体重1㎏あたり50㎖を目安に水分を摂取しましょう。

サムライフでは、栄養指導・サプリメント処方などの専門知識と指導技術、さらにお客様に寄り添うマインドを持ち合わせた予防医学の専門家(予防医学マイスター)が、お客様それぞれに合わせた健康管理を行います。

不定愁訴を改善し、薬に頼らない健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも受けているパーソナルヘルスコーチのカウンセリングを、ぜひお試しください。

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