ミネラルとは?各ミネラルの働きと豊富な食材を解説
五大栄養素の一つである「ミネラル」は、身体の様々な生理機能に関与しており、健康維持に欠かせない役割を果たします。
ミネラルが不足すると、イライラ・頭痛・貧血・疲労感・食欲不振・生理不順など、さまざまな不定愁訴の原因となり、これらの不定愁訴を放っておくことで、病気に発展するリスクがあります。
そこで今回は、「ミネラルってどんな栄養素?」「ミネラルの種類」「各ミネラルの働きと豊富な食材」について解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
ビタミンに関しては「ビタミンとは?各ビタミンの働きと豊富な食材を解説」にて解説しています。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
ミネラルってどんな栄養素?
ミネラルとは、五大栄養素の一つで、身体の約96%は酸素・炭素・水素・窒素で構成され、ミネラル(無機質)は残りの約4%を占めています。
ビタミン同様、必要量は微量ながらも健康維持に欠かせない栄養素で、骨や歯の構成や体液のpH・浸透圧の調整、酵素の補助や神経・筋肉の調整など、多様な役割を担っています。
ミネラルは、体内で合成されないため、食事からの摂取が必要です。
不足すると、不定愁訴が現れたり、鉄欠乏性貧血・甲状腺腫・糖尿病・骨粗しょう症などの欠乏症を引き起こしますが、摂り過ぎた場合にも過剰症や中毒を招きます。
現代の食生活ではミネラル不足が懸念され、糖尿病や骨粗しょう症・アトピー性皮膚炎・アレルギーなどの原因の一つとも言われています。
ミネラルの種類
ミネラルは、16種類の必須ミネラルがあり、1日の推奨量や目安量が100㎎以上の「多量ミネラル」と、100㎎未満の「微量ミネラル」に分けられます。
「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」では、そのうち13種類のミネラルの推奨量や目安量を示しています。
多量ミネラル
多量ミネラルには、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リンが含まれます。
体内に比較的多く存在するミネラルで、日常的に摂取が必要です。
骨や歯・筋肉・血液の構成や、体液のバランス調整、エネルギー代謝や酵素の補助として、重要な役割を果たします。
微量ミネラル
微量ミネラルには、鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンが含まれます。
体内に必要な量は微量ですが、重要な役割を果たすため、欠かせない栄養素です。
酵素の補助や、代謝・免疫機能の調整、ホルモンの生成、酸素の運搬など、多様な生理機能を支えています。
各ミネラルの働きと豊富な食材
ミネラルは、必要量は微量ながらも健康維持に欠かせない栄養素で、骨や歯の構成・酵素の補助など、体にとって重要な役割を果たします。
そのため、ミネラルが不足すると、疲労感・食欲不振・生理不順・便秘・貧血など、さまざまな不定愁訴の原因となり、これらの不定愁訴を放っておくことで、病気に発展するリスクがあります。
ナトリウム
血液中の電解質として重要な役割をするナトリウムは、魚介類や海藻類・添加されていない天然の塩や、醤油・味噌などの発酵調味料に豊富に含まれています。
ナトリウムが不足すると、倦怠感・食欲不振などの不定愁訴の原因になります。
これらの不定愁訴を放っておくことで、低ナトリウム血症が起こるリスクが高まり、症状が重篤になると昏睡状態や、最悪の場合には命に関わる可能性もあります。
ナトリウムの働き
- 神経や筋肉の機能の調整や酸塩基平衡の調節をする働き
- 体内の水分バランスを調整し、血圧を維持する働き
ナトリウムが豊富な食材
- 梅干し
- イカの塩辛
- 醤油
ナトリウム不足を原因とする不定愁訴
- 倦怠感
- 食欲不振
ナトリウム不足を原因とする病気
- 低ナトリウム血症
カリウム
血圧を下げる作用があるとして、高血圧症の予防に有効と考えられているカリウムは、野菜や芋などの植物性食品をはじめ、様々な食品に豊富に含まれています。
カリウムが不足すると、脱力感・食欲不振などの不定愁訴の原因になります。
これらの不定愁訴を放っておくことで、低カリウム血症が起こるリスクが高まり、症状が進行すると、歩行困難や呼吸困難など、日常生活において重大な問題を引き起こす可能性があります。
カリウムの働き
- 細胞の浸透圧を維持する働き
- ナトリウム(塩分)を体外に排出しやすくし、体内の塩分量を調節する働き
- 筋肉の収縮や神経伝達をする働き
カリウムが豊富な食材
- 大豆
- 里芋
- アボカド
カリウム不足を原因とする不定愁訴
- 脱力感
- 食欲不振
カリウム不足を原因とする病気
- 低カリウム血症
カルシウム
身体に最も多く含まれるミネラルで、体重の1~2%を占めているカルシウムは、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や種実類などに多く含まれています。
カルシウムが不足すると、肩こり・腰痛・虫歯・歯周病・しびれ・イライラ・生理不順などの不定愁訴の原因になります。
また、カルシウムが慢性的に不足すると、骨量が減少し、骨粗しょう症や骨折を起こす可能性があります。
カルシウムの働き
- 骨・歯などの硬組織を形成する働き
- 細胞・筋肉・神経の働きをサポートする働き
カルシウムが豊富な食材
- モロヘイヤ
- 干しエビ
- 厚揚げ
カルシウム不足を原因とする不定愁訴
- 肩こり
- イライラ
- 生理不順
カルシウム不足を原因とする病気
- 骨粗しょう症
- 骨の発育障害(幼児)
マグネシウム
体内のミネラルバランスをコントロールするうえで重要な役割を果たしているマグネシウムは、大豆製品や未精製の穀物類・種実類・海藻類に豊富です。
マグネシウムが不足すると、めまい・イライラ・食欲不振・疲労感・便秘・動悸・不整脈・神経過敏などの不定愁訴の原因になります。
また、マグネシウムが慢性的に不足すると、虚血性心疾患や高血圧・筋肉のけいれんを引き起こすリスクが高まります。
マグネシウムの働き
マグネシウムが豊富な食材
- 木綿豆腐
- わかめ
- 玄米
マグネシウム不足を原因とする不定愁訴
- イライラ
- 疲労感
- 便秘
マグネシウム不足を原因とする病気
- 虚血性心疾患
- 高血圧
- 神経過敏
リン
骨や歯の構成成分で、丈夫な歯や骨作りに不可欠なリンは、魚類・肉類・豆類・穀物類に豊富に含まれています。
リンが不足すると、骨や歯が弱くなる・筋力低下などの不定愁訴の原因になります。
また、リンが慢性的に不足すると、低リン血症が起こるリスクが高まります。
リンの働き
- 丈夫な歯や骨を作る働き
- エネルギーを蓄える働き
リンが豊富な食材
- ししゃも
- 高野豆腐
- 玄米
リン不足を原因とする不定愁訴
- 骨や歯が弱くなる
- 筋力低下
リン不足を原因とする病気
- 低リン血症
鉄
エネルギー代謝において重要な働きをする鉄は、肉類・魚介類・海藻類・豆類・緑黄色野菜に多く含まれています。
鉄が不足すると、疲労感・だるさ・頭痛・めまい・動悸・息切れ・筋力低下・シミ・シワ・抜け毛などの不定愁訴の原因になります。
また、ヘモグロビンは正常値であるのにもかかわらず、貯蔵鉄(フェリチン)が不足して起こる「隠れ貧血」が増えていますが、通常の健康診断では見つかりません。
鉄の働き
- 肺からとり込んだ酸素を全身に運搬する働き
鉄が豊富な食材
- 豚レバー
- しじみ
- 青のり
鉄不足を原因とする不定愁訴
- 疲労感
- 頭痛・めまい
- シミ・シワ
- 抜け毛
鉄不足を原因とする病気
- 鉄欠乏性貧血
亜鉛
骨・肝臓・腎臓・筋肉など全身の細胞内に存在している亜鉛は、魚介類・肉類・海藻類・野菜類・豆類などに含まれ、特に牡蠣には豊富に含まれています。
亜鉛が不足すると、貧血・食欲不振・味覚障害・皮膚炎・脱毛などの不定愁訴の原因になります。
また、亜鉛は免疫反応にも関与しているため、不足すると免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
亜鉛の働き
- 味覚を正常に保つ働き
- 重要なホルモンを作る働き
- 細胞を作り、成長を助けてくれる働き
亜鉛が豊富な食材
- 牡蠣
- 豚レバー
- 枝豆
亜鉛不足を原因とする不定愁訴
- 貧血
- 皮膚炎・脱毛
- 免疫力の低下
亜鉛不足を原因とする病気
- 味覚障害
- 性機能の低下
- 成長障害(子ども)
銅
貧血を予防する働きがある銅は、魚介類・肉類・豆類・種実類など、幅広い食材に多く含まれています。
銅が不足すると、貧血や毛髪異常などの不定愁訴の原因になります。
また、白血球の減少や骨の異常が現れる可能性があり、子どもの場合では、成長障害を起こすこともあります。
銅の働き
- 貧血を予防する働き
- 抗酸化酵素を作り出し、細胞の酸化を防ぐ働き
- 皮膚と髪の色や艶を守る働き
銅が豊富な食材
- 干しエビ
- 牛レバー
- そら豆
銅不足を原因とする不定愁訴
- 貧血
- 毛髪異常
銅不足を原因とする病気
- 白血球の減少
- 骨の異常
- 成長障害(子ども)
マンガン
糖質や脂質などの代謝に補酵素として関わっているマンガンは、穀物類・種実類・豆類・果物類・緑黄色野菜などの植物性食品に多く含まれています。
マンガンが不足すると、血糖値の上昇・傷が治りにくくなる・性機能の低下・貧血・などの不定愁訴の原因になります。
また、成長障害・骨形成の異常・血液凝固異常・骨粗しょう症・動脈硬化・運動障害などのさまざまな症状があらわれることもあります。
マンガンの働き
- さまざまな酵素をつくる働き
- 正常な生殖機能を保つ働き
- 免疫系の機能を向上させる働き
マンガンが豊富な食材
- 大豆
- 玄米
- 海苔
マンガン不足を原因とする不定愁訴
- 血糖値の上昇
- 貧血
マンガン不足を原因とする病気
- 成長障害
- 血液凝固異常
- 動脈硬化
ヨウ素
甲状腺ホルモンの構成成分で、身体の代謝やさまざまな機能の調整をしているヨウ素は、昆布・ひじき・わかめなどの海藻類と、タラ・塩サバなどの魚介類に多く含まれます。
ヨウ素が不足すると、甲状腺機能の低下による脱毛・貧血・むくみ・体重増加・体力の低下・倦怠感・成長障害などの不定愁訴の原因になります。
また、甲状腺肥大や甲状腺腫により機能が低下することもあります。
ヨウ素の働き
- 基礎代謝を促進させる働き
- 発育を促進させる働き
ヨウ素が豊富な食材
- 昆布
- ひじき
- タラ
ヨウ素不足を原因とする不定愁訴
- 甲状腺機能の低下
ヨウ素不足を原因とする病気
- 成長や発達の遅延(特に乳児)
- 胎児の脳や身体の発達の遅延(妊婦)
セレン
過酸化脂質の分解に関与する抗酸化酵素の構成成分で、強い抗酸化作用を持つセレンは、魚類、肉類、卵などに多く含まれています。
セレンが不足した場合、シミ・しわの増加・筋肉痛・筋力低下・爪の白色化などの不定愁訴の原因になります。
また、慢性的な欠乏は成長障害・肝臓障害・動脈硬化や、克山病という病気では、心不全症状を示し、味覚障害や白内障も引き起こします。
セレンの働き
- 老化予防やがんを抑制する働き
- 有害物質を排出する働き
セレンが豊富な食材
- まぐろの刺身
- かつお節
- 卵
セレン不足を原因とする不定愁訴
- シミ・しわの増加
- 爪の白色化
セレン不足を原因とする病気
- 成長障害
- 肝臓障害
- 動脈硬化
- 克山病
クロム
血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンの働きを助けるクロムは、海藻類・魚介類・肉類・果物類・豆類など、幅広い食材に含まれています。
クロムが不足した場合、インスリン感受性の低下による疲労感・体重減少などの不定愁訴の原因になります。
また、耐糖能異常が起こる可能性もあり、軽度の場合、自覚症状がないことも多いですが、重度の場合は意識障害などが起こることもあり、放置すると糖尿病になる確率が高くなります。
クロムの働き
- インスリンをサポートする働き
- 脂質の代謝を促進する働き
クロムが豊富な食材
- あおさ
- アサイー
- 木綿豆腐
クロム不足を原因とする不定愁訴
- 疲れやすい
- 体重減少
クロム不足を原因とする病気
- 耐糖能異常
- 意識障害
- 糖尿病
モリブデン
体内では酵素の構成成分となり、糖質や脂質の代謝の過程で必要な酵素の働きを助ける役割を担っているモリブデンは、穀物類・レバーに多く含まれます。
モリブデンが不足した場合、貧血・疲労・頻脈・多呼吸・夜盲症などの不定愁訴の原因になります。
また、モリブデンが慢性的に不足すると、尿酸代謝障害・不妊を引き起こすリスクが高まります。
モリブデンの働き
- 糖質や脂質の代謝を助ける働き
- 鉄分の働きを助ける働き
- 尿酸の生成を助ける働き
モリブデンが豊富な食材
- 納豆
- 玄米
- 豚レバー
モリブデン不足を原因とする不定愁訴
- 貧血
- 頻脈
- 夜盲症
モリブデン不足を原因とする病気
- 尿酸代謝障害
- 不妊
まとめ
今回は、ミネラルとはどのような栄養素なのか、ミネラルの種類や、各ミネラルの働きと豊富な食材について解説してきました。
ミネラルが不足すると、それぞれの栄養素に特有の欠乏症を引き起こし、イライラ・頭痛・めまい・貧血などの不定愁訴や、病気につながる可能性があります。
現代の食生活ではミネラル不足が懸念され、糖尿病や骨粗しょう症・アトピー性皮膚炎・アレルギーなどの原因の一つと言われています。
そのため、適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのフルコンサプリメントで補うことをおすすめします。
健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのサプリメントを、ぜひお試しください。