食物繊維とは?病気の予防につながる摂取量とは?
- 食物繊維の不足は、身体にどんな悪影響があるの?
- 食物繊維はどれくらい摂れば十分なの?
- 食物繊維はどんな食材に豊富なの?
食物繊維は第6の栄養素とも呼ばれ、腸内環境を整えるための善玉菌のエサとなる大切な栄養素です。
しかし、食物繊維の不足は便秘や腸内環境の悪化などの不定愁訴の原因となります。
そこで今回は、「食物繊維とは」「不溶性・水溶性食物繊維の働き」「食物繊維が豊富な食材と摂取量」について解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
食物繊維とは
食物繊維とは、炭水化物から糖質を除いたもので、「食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質」と定義されています。
摂取した食物繊維は、腸内細菌により分解・発酵され、腸内環境を整える善玉菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境の改善にも役立ちます。
便秘の予防・血糖値の上昇をゆるやかにする・血中コレステロール値の正常化・生活習慣病の予防など、さまざまな健康機能が期待されています。
また、腸内環境は免疫力と直結しているため、腸内環境が良くなると免疫力も高まります。
現代の日本人に不足しがちな食品成分のため、積極的に摂取することが勧められます。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
食物繊維には、大きく分けて水に溶けない「不溶性植物繊維」と、水に溶ける「水溶性植物繊維」の2つに分類され、それぞれの生理作用は大きく異なります。
不溶性食物繊維
水に溶けずに体に吸収されない不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促します。
さらに、便のカサを増すだけでなく、腸内に発生した水銀やカドミウムなどの有害金属や発がん物質の排出を促す作用もあるため、腸内を綺麗にして便秘や大腸がんなど腸疾患のリスクを減らしてくれます。
豆類や玄米などの穀類・きのこ類・さつまいもやごぼうに多く含まれています。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、便を柔らかくしたり、善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立ちます。
胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぎます。
また、糖質の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える働きや、胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄する働きがあります。
そのため、コレステロール値の低下・高血圧・動脈硬化・脂質異常症や糖尿病など、さまざまな生活習慣病の予防効果も期待されています。
昆布やわかめなどの海藻類や、こんにゃく・りんご・オートミール・大豆などに多く含まれます。
食物繊維の不足で起こる不定愁訴
食物繊維が不足すると、便秘・腸内環境の悪化などの不定愁訴の原因になります。
- 便秘
- 腸内環境の悪化
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
便秘・腸内環境の悪化
食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化により便秘になりやすくなります。
また、腸内でつくられた有害物質が長く留まることで腸内環境が悪化し、発がんのリスクが高まります。
食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあるため、食べた時の満足感が高くなり、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。
食物繊維の摂りすぎによる悪影響
食物繊維の過剰摂取は、下痢やミネラルの吸収阻害などを招く可能性があります。
通常の食事では食物繊維の過剰症の心配はなく、むしろ、現代の日本人は、食物繊維が不足しがちなので、意識してとる必要があります。
しかし、サプリメントなどで単一の食物繊維を多量に摂り過ぎると、下痢を起こすことがあります。
また、鉄やカルシウム・亜鉛などの吸収を妨げ、ミネラル不足を招く可能性があるため、注意が必要です。
予防医学の観点からみる食物繊維の摂取基準量
予防医学の観点からみても、30~49歳男性の場合で1日の摂取目標量は21g以上と考えられます。
年齢・性別によって摂取目標量は異なりますが、ひとつの基準として21gを目安にするといいでしょう。
食物繊維の目標量は7g×3食=1日で合計21g以上
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、食物繊維の摂取基準である「目標量」は、男性18~64歳は21g以上、女性18~64歳は18g以上としています。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとして食物繊維の摂取目標量として7g×3食、1日合計21g以上を推奨しています。
21gは最低ライン
あくまで21gというのは1日の摂取の最低ラインで、これを下回った場合、体調不良や病気に直結するということです。
過剰摂取のラインは、男性36g・女性33gを超えるとお腹がゆるくなったりする傾向がみられます。
そのため、理想的な摂取量は、男性25~31g・女性22~28gを摂取できるように心がけましょう。
これはあくまで目安で、個人差があります。
厚生労働省から具体的に示されている数値ではないものの、当社が20年以上にわたる臨床実験と様々なデータを複合的に分析した上で割り出しています。
食物繊維が豊富な食材と摂取量
不溶性食物繊維は、納豆や玄米・きのこ類・さつまいもやごぼうに多く含まれており、水溶性食物繊維は、昆布やわかめなどの海藻類や、こんにゃく・オートミールなどに多く含まれます。
食物繊維1日分をレタスで例えると約8玉分と、かなりの量を摂取しないと1日分を満たせません。
不溶性食物繊維が豊富な食材と摂取量
カテゴリー | 食材 | 食物繊維含有量(g) |
---|---|---|
葉菜類 | ブロッコリー/100g | 5.1 |
根菜類 | ごぼう/100g | 5.7 |
いも類 | さつまいも/100g | 2.2 |
穀類 | 玄米/1膳 | 2.24 |
豆類 | 納豆/1パック(50g) | 4.75 |
きのこ類 | 乾燥椎茸/10g | 4.67 |
不溶性食物繊維の中でも、納豆は1パック4.75gと1日の食物繊維摂取目標量の約1/4を摂取することができるため、1日1パックを目安に摂取できると良いでしょう。
また、納豆・ごぼうは不溶性食物繊維だけでなく、水溶性食物繊維も多く含まれることから、2種類の食物繊維をバランスよく摂取できる食材です。
水溶性食物繊維が豊富な食材と摂取量
カテゴリー | 食材 | 食物繊維含有量(g) |
---|---|---|
海藻類 | 昆布/10g | 3.68 |
乾燥わかめ/10g | 2.98 | |
いも類 | こんにゃく/100g | 2.2 |
全粒穀物 | オートミール/100g | 9.4 |
果物類 | りんご/100g | 1.4 |
水溶性食物繊維が豊富なオートミールですが、不溶性食物繊維も多く含まれる他、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンE・マグネシウム・鉄・亜鉛・モリブデン・セレンなどの栄養素も豊富に含まれます。
炭水化物とたんぱく質が多く、脂質が少ないため、主食やおやつとして活用しやすいでしょう。
食べ方としては、オートミールご飯やおかゆ・スープ・お茶漬け・リゾット・クッキーなど、幅広いアレンジが可能です。
食物繊維の効率的な摂取方法
野菜や果物に食物繊維が豊富なイメージがありますが、例えばごぼうでいうと100gあたり食物繊維含有量が5.7gのため、約400gの摂取が必要になりますが、現実的ではありません。
海藻類・いも類・豆類・乾物などさまざまな食材から、水溶性・不溶性食物繊維のどちらもバランスよく摂取することが大切です。
お惣菜から摂取する
きんぴらごぼう・ひじき煮・切り干し大根などの昔ながらのお惣菜や、煮物・お浸しからの摂取がおすすめです。
生野菜で食べるよりも、加熱調理によってかさが減るため、野菜やきのこ類・豆類・海藻類・いも類・乾物などから食物繊維をたっぷり摂取することができます。
また、主食の白米を玄米・オートミールにしたり、パンは全粒粉やライ麦にすると効果的に摂取できます。
ファイバーファーストを心がける
食物繊維が豊富なものから摂取すると、その後食べる糖質や油の吸収を緩やかにしたり、妨げてくれます。
とんかつ定食で例えると、つけ合わせの生野菜やキャベツ・お惣菜などを摂取してから、汁物を摂取し、そのあとにとんかつやお米を摂取します。
また、食物繊維は善玉菌のエサとなるので、男性は1日21g以上・女性は1日18g以上を3食に分けてしっかり摂りましょう。
まとめ
今回は、食物繊維とはどのような栄養素なのか、食物繊維の摂りすぎや不足による不定愁訴、食物繊維の摂取方法について解説してきました。
食物繊維が不足すると、便秘や腸内環境の悪化などが起こる可能性があり、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
良い腸内環境を作るには、善玉菌を多く含む食品を食べ、水溶性・不溶性食物繊維をバランスよく摂り、適度な運動・休息など生活習慣を整えていくことが大切です。
サムライフのファストファイバーは、「多くの人にもっと気軽に食物繊維をとって欲しい」という願いを込めて作った食物繊維サプリメントです。
適切な食事に加えて、食事で不足する分をサムライフのファストファイバーで補うことをおすすめします。
健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのファストファイバーを、ぜひお試しください。