便秘・下痢の原因と改善方法について解説
- 便秘と下痢になる原因って?
- 便秘と下痢が続くと考えられる病気は?
- 便秘と下痢の改善は、どんな方法があるの?
便秘や下痢は、多くの人が経験する不定愁訴の一つです。
消化器系の不調は、生活習慣や食事の影響だけでなく、他の健康問題や精神的なストレスとも関連することが多く、時には日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。
そこで今回は、便秘と下痢の症状と原因、その背景にある可能性のある病気、さらに食事・栄養や生活環境の観点から、便秘と下痢の改善方法を解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
便秘と下痢の特徴と症状
便秘や下痢は多くの人が抱える一般的な不調で、不定愁訴の一つとされています。
便秘の特徴と症状
便秘には、排便の回数や量が少なく、便が腸の中に溜まって出ないタイプと、回数は問題ないものの、出ても残便感があるタイプの2種類に分けられます。
主に、腹痛、腹部膨満感、排便時に強くいきむ必要がある、コロコロした便や硬い便が出る、残便感、肛門の閉塞感、排便回数が週3回未満などの症状が見られます。
お腹の不快感だけでなく、頭痛、食欲不振、嘔吐、倦怠感、イライラ感など、全身症状を引き起こすこともあります。
下痢の特徴と症状
下痢には、冷えや暴飲暴食、食中毒が原因である「急性下痢」と、ストレスや病気が原因である「慢性下痢」があります。
便の水分量が多く、軟便や、ひどい場合は水様便になります。
便に含まれる水分は、ただの水ではなく、食べ物から摂取した栄養分や大切な体液も含まれているため、下痢が続くと体力消耗や体重減少を伴うこともあります。
また、ストレスが原因で起こる過敏性腸症候群や、血便が出る場合には、クローン病や潰瘍性大腸炎、大腸がんなどに発展するリスクが高まります。
便秘や下痢などの不定愁訴が起こる原因
便秘や下痢などの不定愁訴が起こる原因として、不規則な生活、ストレス、食生活の乱れなどがあげられます。
腸内の善玉菌が減少し、悪玉菌が増えると腸内環境が悪化し、便秘や下痢が発生しやすくなります。
便秘が起こる原因
便秘が起こる原因として、腸の病気で腸が狭くなる、大腸の動きが悪い、食物繊維不足などがあげられます。
ダイエットなどによる不規則な食生活や、欠食傾向も便秘の原因となります。
また、便秘は60歳未満の女性に多く、高齢期は男女ともに多くみられます。
下痢が起こる原因
下痢が起こる主な原因は、暴飲暴食、冷え、ストレス、食中毒、感染症などがあげられます。
特に、食中毒や急性腸炎による下痢や血便は、早急な対応が必要です。
また、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が不足している人は、牛乳を飲むことで下痢を引き起こすことがあります。
便秘や下痢に関連する可能性のある病気
便秘や下痢が長期間続く場合、関連する可能性のある病気として、過敏性腸症候群があげられます。
過敏性腸症候群は、過労やストレス、自律神経失調が原因で、腸の内臓神経が過敏になり、腹痛や、便秘、下痢などの便通異常を起こす病気です。
下痢が多い下痢型、便秘が多い便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す混合型があります。
また、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症、クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸がんなどの病気が背景にある可能性も考えられます。
便秘や下痢の改善方法
便秘や下痢の改善には、食生活の改善やストレス解消、適度な運動が効果的です。
運動は、自律神経のリズムを正常化する働きもあるため、無理のない範囲で行いましょう。
便秘に対する食事・栄養の改善
便秘の改善には、1日3食規則正しい食事を摂ることが大切です。
野菜、果物、海藻、豆類など、食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂取し、水分も十分に補給しましょう。
朝は排便の反射が盛んなため、朝起きたらコップ1杯の常温の水を飲み、朝食をしっかり摂ることで、排便をサポートします。
さらに、ヨーグルトなどの発酵食品に含まれるビフィズス菌や乳酸菌を毎日摂取することで腸内環境を整えることができます。
下痢に対する食事・栄養の改善
下痢の際は腸に負担をかける食品を避け、刺激の少ない食事を心がけましょう。
食物繊維が多い野菜や海藻、きのこ、こんにゃくなどは、消化に悪く、腸に負担をかけるため控えましょう。
また、コーヒー、アルコール、冷たい飲み物、辛い食べ物、揚げ物、脂肪分が多い食品なども腸に刺激を与えてしまうため避けましょう。
栄養と水分を補給するため、消化の良い料理をバランスよく摂取し、便を固める働きを持つ水溶性食物繊維を含む里芋やじゃがいも、りんご、バナナなども取り入れましょう。
下痢により失われた水分を補給するには、温かい汁物や経口補水液がおすすめです。
生活習慣の改善
便秘や下痢は、適度な運動や、十分な睡眠、ストレス解消など、生活習慣や環境の見直しも大切です。
便を肛門から排泄する最終段階では、腹筋や腸腰筋の力が重要なため、筋肉を維持するために1日10分でも多く歩くことを心がけましょう。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針」では、18歳から64歳の男女に対して、1日8,000歩の身体活動が推奨されています。
ウォーキングやヨガなどの運動は、腸のぜん動運動を促進するほか、ストレス解消にも役立ちます。
また、便秘を防ぐためには、毎朝決まった時間にトイレに行く習慣をつけ、規則的な排便リズムを整えることが重要です。
便意を我慢する癖や不規則な生活が便秘の原因となるため、早起きして時間に余裕を持つことで、体内リズムを整えやすくなります。
まとめ
今回は、不定愁訴の一つである便秘や下痢が起こる原因や、改善方法について解説してきました。
便秘や下痢の改善には、野菜や果物、海藻類などの食物繊維をはじめとした、バランスの良い食事・栄養が大切です。
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