糖質の摂りすぎによる悪影響は?摂取目標量について解説
- 糖質の不足や過剰摂取は、身体にどんな悪影響があるの?
- 糖質はどれくらい摂れば十分なの?
- 糖質の少ない食材は何があるの?
糖質は、三大栄養素である炭水化物の構成成分で、身体や脳に必要なエネルギー源です。
しかし、エネルギー源になるからと言って、糖質を摂りすぎると、肥満や糖尿病などの生活習慣病の原因となります。
糖質の少ない食材から摂取したり、低GIの食事を意識して血糖の上昇を緩やかにすると、血糖や中性脂肪が低下するなど、糖尿病の予防につながります。
そこで今回は、「糖質とは」「糖質と糖類の違い」「糖質が少ない食材・多い食材と摂取量」について解説します。
食生活を中心とした栄養管理を見直すことが健康に繋がる第一歩になりますので、この記事を参考に見直してみるといいでしょう。
株式会社サムライフ 代表取締役 坂田 武士
薬剤師の経験を経て、薬に頼らない予防医学の専門家として従事。「日本の死因の第一位を老衰死にする」を目標に掲げ、過去20年間にわたる予防医学や栄養学に関する膨大な臨床実験と、延べ5万人に対する予防医学の指導を経験。
病院の院長や、管理栄養士、パーソナルトレーナーなど、健康を指導する立場の人間や、オリンピックメダリストをはじめとしたトップアスリートへの指導も行う。
- 株式会社 サムライフ 代表取締役
- 一般社団法人 日本予防医学マイスター協会 代表理事
- 一般社団法人 日本先進医療臨床研究会 理事
著書:
『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉を落とさず健康的にやせる!』
『薬をすすめない薬剤師が教える 脱・薬健康法』
糖質とは
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。
主な炭水化物の分類には、消化吸収される「糖質(糖類)」と、消化吸収されない「食物繊維」に分かれるため、糖質は炭水化物の一部となります。
糖質はさらに「単糖類」「少糖類」「多糖類」「その他の糖質」に分けられます。
糖質は、1g4kcalのエネルギーを産生するため、エネルギー源として最も多く利用され、摂取してから最も早くエネルギーに変わる栄養素です。
体内で消化吸収された後ブドウ糖となり、筋肉のエネルギー源として使われるほか、脳が機能するための唯一の栄養素となります。
糖質と糖類の違い
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称で、糖類は糖質から三糖類以上の糖とその他を除いたものの総称です。
糖類は糖質の一部であり、単糖類であるブドウ糖や果糖、二糖類であるショ糖や麦芽糖などが糖類に分類されます。
食品や飲料などで、「糖質0」「糖類0」などの表示をよく見かけますが、「糖質0」の場合、糖類を含む糖質が0となります。
しかし、「糖類0」の場合は糖類は0ですが、糖質が入っている可能性があるといえます。
また、「糖類オフ」の表示の場合、ブドウ糖やショ糖などの糖類は基準値よりも少ないですが、でんぷんやキシリトール・アステルパーム・ステビアなどの糖質を含んでいる可能性があります。
そのため、糖質の量を気にされる方は、「糖類0」より「糖質0」を選んだ方が、より糖質をカットすることができます。
糖質の種類
糖質の最小単位は「単糖」で、その結合数によって少糖類・多糖類に分けられ、体内での働きもそれぞれ異なります。
- 単糖類・・・ブドウ糖(グルコース)・果糖(フルクトース)ガラクトースなど
- 二糖類・・・ショ糖・麦芽糖・乳糖など
- 少糖類・・・オリゴ糖など
- 多糖類・・・消化性多糖類と難消化性多糖類(でんぷん・グリコーゲンなど)
- 糖アルコール・・・キシリトール・ソルビトールなど
- その他の糖質・・・アスパルテーム・アセスルファムカリウム・ステビアなど
糖類(単糖類)
単糖類とは、糖質の最小単位であり、1個の糖から構成され、それ以上分解されない糖類で、「ブドウ糖」「果糖」「ガラクトース」があります。
穀類や果実・根菜類に多く含まれ、栄養学上最も重要な糖質である「ブドウ糖(グルコース)」は、エネルギー源として利用されるほか、多くの生理作用に関与します。
日本では、ぶどうから発見されたため、ブドウ糖と名前が付けられました。
「果糖」は、果汁に多く含まれていることから「果糖(フルクトース)」と呼ばれ、花の蜜にも多く含まれ、はちみつの固形成分の約半分は果糖です。
「ガラクトース」は、乳糖の構成成分で、乳汁に多く含まれています。
糖類(二糖類)
二糖類とは、単糖が2つ結びついた糖類で、「ショ糖」「麦芽糖」「乳糖」があります。
砂糖の主成分である「ショ糖(スクロース)」は、砂糖の主成分で、さとうきびやてんさい糖に多く含まれています。
「麦芽糖(マルトース)」は、ブドウ糖とブドウ糖が結合した二糖類で、麦芽や水あめに含まれている他、デンプンが分解されたときに生じます。
「乳糖(ラクトース)」は、ブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類で、乳幼児期の重要なエネルギー源となります。
動物の乳汁に含まれていて、母乳には約7%、牛乳には約4%含まれます。
少糖類
少糖類は、単糖が2つ以上結びついたもので、オリゴ糖とも呼ばれます。
ギリシャ語で「少し」を意味するオリゴ糖は、消化酵素によって分解されず、腸内で善玉菌を増やす働きがあります。
フラクトオリゴ糖・フラクトオリゴ糖・イソマルオリゴ糖・大豆オリゴ糖・ガラクトオリゴ糖など、特定保健用食品などにも使われています。
多糖類
多糖類は、単糖が多数結合した高分子化合物です。
デンプンは、ブドウ糖が多数結合した植物性の貯蔵多糖類で、穀類やいも類に多く含まれています。
グリコーゲンは、ブドウ糖が多数結合した動物性の貯蔵多糖類で、肝臓や筋肉に多く含まれています。
その他の多糖類
植物の細胞壁の主成分であるセルロースや、果物や野菜に多いペクチンなどは、非デンプン性多糖類で、食物繊維と呼ばれています。
糖質の摂りすぎによる悪影響
糖質の過剰摂取は、肥満や糖尿病など、生活習慣病を招く可能性があります。
糖質は、エネルギー源になるからと言って、沢山摂ればいいということではありません。
糖質を摂ると、血糖値が上昇し、血糖値を下げるホルモンであるインスリン分泌が起こり、筋肉や肝臓にエネルギー源として貯蔵されます。
食事から摂取した糖質が多すぎてエネルギー源として利用されずに余ると、余った糖は中性脂肪として脂肪細胞に変化し、体内に蓄積され、肥満や糖尿病の原因となります。
糖質不足で起こる不定愁訴
糖質が不足すると、集中力の低下・思考力の低下・疲労感などの不定愁訴の原因になります。
- 集中力・思考力の低下
- 疲労感
これらの不定愁訴はプレゼンティーズムに繋がる可能性もあるため、健康経営の観点からも重要な課題です。
集中力・思考力の低下
糖質の1つであるブドウ糖は、脳にとって最大のエネルギー源となるため、糖質が不足してブドウ糖が充分に届けられなくなると脳の働きを妨げます。
そのため、集中力の低下や思考力の低下、最悪の場合には意識障害が起こることもあります。
疲労感
糖質が不足すると、エネルギー不足により疲れやすくなります。
また、糖質の不足分を補うためにタンパク質がエネルギー源として使われますが、筋肉量が減少し、基礎代謝の低下にもつながってしまいます。
予防医学の観点からみる糖質の摂取基準量
厚生労働省が定めた食事摂取基準では、糖質としての食事摂取基準は設定されていないため、炭水化物としての食事摂取基準を目安にしましょう。
予防医学の観点からみても、1日の摂取基準である炭水化物の「目標量」は1日のエネルギー総量の50~65%と考えられます。
糖質と食物繊維を合わせた炭水化物の食事摂取基準を目標とする
厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、糖質としての食事摂取基準は設定されていませんが、炭水化物としての食事摂取基準が定められています。
炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものの総称です。
炭水化物から摂取するエネルギーのうち、食物繊維に由来する部分はごくわずかなため、ほとんどは糖質に由来します。
そのため、炭水化物と糖質の食事摂取基準は、ほとんど同じものとなります。
炭水化物の目標量は1日のエネルギー総量の50~65%
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、炭水化物の摂取基準である「目標量」は、1日のエネルギー総量の50~65%としています。
そのため、サムライフでは生活習慣病予防・健康の維持のラインとして炭水化物の摂取目標量として1日のエネルギー総量の50~65%を推奨しています。
糖質の少ない食材と多い食材
糖質は、人間の身体や脳のエネルギー源として不可欠な栄養素ですが、糖質の摂りすぎは肥満や糖尿病などのリスクが上がります。
糖質の含有量を把握したうえで、摂りすぎないように注意して摂取しましょう。
糖質の少ない食べ物
ブロッコリー・ほうれん草・などの野菜や、鶏むね肉・さば・卵・豆腐などの豆類が糖質が少なく、糖質制限中でも気兼ねなく摂取できます。
また、果物は野菜よりも糖質が多く含まれていますが、少量であれば摂りすぎることはありません。
主食の中でも、玄米は糖質が少なく食物繊維も豊富なため、満腹感を感じやすく便秘予防にもおすすめです。
また、お酒を摂取する場合は、ジンや焼酎・ウイスキーやブランデーなどの糖質の少ないアルコールを選びましょう。
カテゴリー | 食材 | 炭水化物(糖質)含有量(g) |
---|---|---|
穀類 | 玄米/1膳(160g) | 56.96(54.72) |
肉類 | 鶏むね肉/100g | 0.1(0.1) |
魚類 | 塩サバ/100g | 0.1(0.1) |
卵類 | 卵/1個 | 0.21(0.21) |
豆類 | 豆腐/1丁(300g) | 6(3.3) |
葉茎菜類 | ブロッコリー/100g | 6.6(1.5) |
ほうれん草/100g | 3.1(0.3) | |
果物類 | アボカド/100g | 7.9(2.3) |
りんご/100g | 15.5(14.1) |
糖質の多い食べ物
一見ヘルシーで健康そうな食材の中にも、糖質が多く含まれているものがあります。
例えばいも類ですが、同じ野菜のブロッコリーやほうれん草の糖質量に比べて多く含まれていることがわかります。
主食のお米は、玄米より白米の方が糖質が高いため、1杯を1/3に減らすなどの工夫をしましょう。
カテゴリー | 食品 | 炭水化物(糖質)含有量(g) |
---|---|---|
穀類 | 白米/1膳(160g) | 59.36(56.96) |
食パン/160g | 74.24(67.52) | |
いも類 | かぼちゃ/100g | 20.6(17.1) |
じゃがいも/100g | 17.3(8.4) | |
果物類 | バナナ/100g | 22.5(21.4) |
ぶどう/100g | 15.7(15.2) |
糖質の効率的な摂取方法
近年では、糖質制限という言葉をよく耳にしますが、過剰な糖質制限は危険です。
糖質は、身体や脳のエネルギーとなるため、GI値の緩やかなものを選び、野菜やお肉・魚などを食べてからお米を食べるなど、工夫しながら糖質摂取をしましょう。
GI値(グリセミック・インデックス)の低いものを選ぶ
GIとは、グリセミック・インデックスの略で、食品によって食後の血糖値の上昇度が異なることに着目した指数です。
GI値が低い食品を摂取すると、血糖の上昇が緩やかなため、血糖や中性脂肪が低下するなど、糖尿病の予防につながります。
例えば、白米・小麦類(食パンやうどん)・白砂糖など、白いものはGI値が高いため、血糖値が上昇しやすくなり、玄米・全粒粉のパスタ・甜菜糖などのGI値の方が低いため、血糖値の上昇が緩やかになります。
ファイバーファースト・プロテインファースト
ファイバーファースト・プロテインファーストを意識して、血糖値の上昇を防ぎましょう。
ファイバーファーストとは、食物繊維を先に摂取する方法です。
食物繊維は腸で消化や吸収がされないため、最初に摂取すると糖と油の吸収を防ぐ関所のような働きをします。
続いて、プロテインファーストはタンパク質を先に摂取する方法で、タンパク質は油の吸収を抑えてくれる働きがあります。
そのため、食物繊維やタンパク質などのおかずを摂取した後に糖質を摂取すると良いでしょう。
生姜焼きで例えると、キャベツなどの野菜を1番に、生姜焼きを2番、3番目にお米を摂取します。
まとめ
今回は、糖質とはどのような栄養素なのか、糖質の摂りすぎや不足による不定愁訴、糖質の摂取方法について解説してきました。
糖質が不足すると、集中力の低下や思考力の低下・疲労感などが起こる可能性があり、仕事や日常生活にも影響が大きくなります。
また、糖質はエネルギー源になるからといって摂りすぎると、肥満や糖尿病などの生活習慣病の原因となります。
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健康的な身体を手に入れたい方は、トップアスリートも愛用するサムライフのファストファイバーを、ぜひお試しください。